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“知られないための技術”
「プライバシーテック」に群がる企業が続々

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第306回】 2014年7月30日
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 最近よく耳にするのが、「プライバシーテック」や「プライバシースタートアップ」ということばだ。いずれも、インターネットやデジタルデバイスを利用する際にユーザーの個人情報を可能な限り守ろうとするテクノロジーの開発が盛んになっていることをうかがわせる。

「ブラックフォン」とは何か?

「ブラックフォン」のメーカーであるスイス「ギークスフォン」のWebサイト

 そうした開発の中でもっともよく知られているのが、「ブラックフォン」だ。これは、スマートフォンのハードウェアを作るスイスのギークスフォンと、暗号ソフトウェアの開発会社であるサイレント・サークルのジョイントベンチャーによって販売されるスマートフォン。世界でGSMに対応し、すでに一部地域向けに販売が開始されている。

 ブラックフォンは、アンドロイドOSに基づいて独自に開発された「PrivatOS」を搭載している。音声やテキストのやりとり、ブラウザーでの軌跡などが他者にトラッキングされることなく行え、ファイルの転送や保存も覗き見られることがないことをハードウェア、ソフトウェアの開発段階で堅固にしたものだ。

 その分、普通のスマートフォン用のアプリを搭載したり、メールを利用したりはできないが、スマートフォンを使った基本的なコミュニケーションには十分な機能が揃っている。

 検索エンジンでは、「ダックダックゴー(DuckDuckGo)」がプライバシーを尊重したものとして知られ、ユーザーの検索履歴をトラッキングしたり保存したりしない。ましてや他社に売ったりしないことをアピールしている。

 通常のブラウザーは、ユーザーが検索した内容をモニターし、それに応じて広告収入を得ようとする。たとえば、アレルギーの症状に関する検索をすると、その後別のサイトに行っても、アレルギーの治療薬などの広告が表示され、それがどこまでもついて回る。それだけでなく、ユーザーのプロファイルにその情報が追加され、年齢、性別、住まいの地域、年収などの情報と共に、第三者の企業に売られたりする。

 ダックダックゴーは、そうしたトラッキングをすることなく、ユーザーが自分のプライバシーを守れるようにしている。広告なしにどうやって運営を続けていくのかは不明だが、NSA(国家安全保障局)のプリズム問題が明らかになってから、ユーザーがどんどん増えているらしい。また、ベンチャーキャピタルからの投資も300万ドル受けているようで、これから新しいタイプのビジネスモデルが生まれるのかもしれない。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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