なぜ、パワーチャージできるはずの栄養ドリンクが
体に危険なのか

 まず、皆さんに覚えておいていただきたいのが、栄養ドリンクはあくまで“非常食”だということ。薬剤や栄養ドリンクで栄養やエネルギーを補給するのは、体調不良のときや病気にかかったときなどの非常時です。非常食の代名詞として乾パンがありますが、誰も通常の食事では乾パンを主食としては食べていない、それと同じです。

 健康なときは、当然ながら食事から栄養を摂ることが一番です。しかし、多くの現代人は非常時でもないのに非常食である栄養ドリンク類に頼りがちです。
 しかも、その安易な行動が、のちに大きなしっぺ返しとなってあなたの体に襲い掛かるとも知らずに……。

 栄養になるはずの栄養ドリンクからしっぺ返し。あまりピンとこないかもしれませんが、実は、ドリンク剤によっては少量のアルコールを含むものが存在しています。アルコール入りのものは、飲んですぐ元気になりたいという短期的効果を狙うときにはいいかもしれませんが、実は、一種の興奮剤のようなものであるため、効き目が切れるとドっと疲れが押し寄せてくることがあります。

 また、ドリンク剤の成分として含まれているアルコールやカフェインは嗜好品ですから、依存症になる恐れがあります。
 さらにドリンク剤には、低血糖からくる脳の働きを活性化させるために糖分がたくさん含まれているものも多く、毎日飲み続けると糖尿病や肥満につながることがあります。ドリンク剤に含まれるアルコールとカフェインなどの成分が、すでに常用している薬との飲み合わせで障害を起こす危険性も避けられません。
 例えば、風邪薬や気管支拡張剤とカフェインを一緒に摂ると、相互作用により、頭痛を引き起こすことがあります。また、睡眠薬や血糖下降剤(糖尿病治療薬)と一緒に飲んでしまうと、睡眠薬の効力が強くなりすぎたり、血糖のコントロールができなくなることもあり得ます。

 じゃあ、薬と一緒に飲まなければいいのか。実はそんなに簡単な問題でもないのが栄養ドリンク剤の危険性なのです。