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犬のフン放置対策の切り札!?
大阪府泉佐野市が導入を断念した「犬税」の是非

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第83回】 2014年8月1日
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 神奈川県の動物保護センターが発表したところによると、神奈川県では昨年度の犬の殺処分数が初めてゼロになったとのことだ。つまりは、一匹もワンちゃんを殺さなかったのである。

 センターに登録している三〇以上のボランティア団体と個人が、保護した犬の里親捜しに尽力した結果、昨年度の犬の処分数をゼロにした。三日に一匹の割合で捨て犬等を保護していたにもかかわらず、である。これを受け、黒岩祐治神奈川県知事は、

 「神奈川県は殺処分ゼロを継続する。動物に優しい県を目指す」

 と宣言した。でもHPをもう少し見やすくしてください黒岩閣下。すっげーお役所仕事みたいなHPで見づらいんです。

 しかし、犬の殺処分ゼロは全国に誇るべきことで、動物に優しい県も大賛成なのだが、逆に動物の放棄を危惧するボランティア団体もある。

 「殺処分がゼロになったことで『神奈川に捨てれば殺されない』と放棄が増えるのでは、との不安が大きい」

 犬の殺処分数は、以前と比べればうんと減ったとはいえ、それでも全国で年間四万匹前後が処分されている(平成23年度4.3万匹 平成24年度3.8万匹)。

 猫に至っては十三万匹で、そのうち八万匹は「幼体個体」と言われる、一歳未満の離乳していない仔猫だ(犬は約七〇〇〇匹)。中には目も開いてない赤ちゃんもいるんだって。どーしてこんなにたくさんの犬猫を殺してしまうんでしょう。答え:人間の都合。

 ものすごく不思議に思うのは、犬猫が殺処分されるということは、里親捜しが飽和状態で、つまりは保護された犬猫の引き取り手がいないってことなのに、何故かペットショップは繁盛している。数は減ったとは言っても、毎年十六万匹もの犬猫が処分される一方で、小動物がどんどん売られているってことだね。

 環境省も、六月三日、将来的に犬猫の殺処分をゼロにするための行動計画を発表した。これは動物の遺棄防止や里親捜しなど先進的な対策を実施している自治体をモデル地区に選定し、その取り組みを全国に広げる――、という、いかにもお役所的な……、もとい、えらく時間のかかりそうなプログラムを組んだ。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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