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“恐竜化”する日米を尻目に大躍進!
財閥力だけではない韓国企業の凄み

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第92回】 2009年9月1日
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 最近、韓国企業が、世界市場の中で存在感を強めている。特に、情報・通信分野での躍進は目覚しい。

 今年第2四半期、世界のDRAM(随時書き込み・読み取り可能なメモリ)市場で韓国企業が占めるシェアは60.1%、液晶ディスプレイ(LCD)でのシェアは55.4%、さらに携帯電話についても30.6%を占めたと報道されている。これらの分野では、既に圧倒的なシェアを誇るまでになっているのだ。

 また、韓国企業の躍進はIT分野だけに留まらない。米GMやトヨタ自動車など先進国の主要自動車メーカーが苦戦する中、欧米や中国市場で着実に占有率を伸ばしている。

 今年、世界最大の自動車マーケットになる中国では、韓国企業の今年上半期のシェアは9.8%と2ケタが目前となっている。これから彼らが、わが国企業にとっても大きな脅威となることは間違いない。

 世界的な不況にもかかわらず、韓国企業は何故このような躍進を続けられるのだろうか?

 その背景には、“ウォン安”がある。一時期、韓国経済が大きく減速したこともあり、ウォンは下落傾向が続いていた。それが、韓国の輸出企業にとって大きな追い風になったのだ。

 ただし、自国通貨安だけで、これだけの躍進は実現できない。その背景には、政府の輸出指導の産業政策に加えて、大企業がグループを形成する“財閥”の存在がある。

 人口約4000万人足らずで、隣国の北朝鮮と常に臨戦態勢を維持し続けなければならない韓国にとって、経済力を高めることは、自国を維持するためにどうしても必要なことなのである。

 その意識は高く、しかも“財閥”という堅固な企業部ループの存在によって、相対的に体力のある企業の経営資源が集中していることが上手くワークしている。

 それが、機敏な経営戦略につながり、世界市場を席巻する大手企業を育てる土台になっている。今後もそうした傾向は続くと見られ、わが国企業にとっても「最大のライバルの1つ」して、大きな脅威になることは間違いない。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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