株式レポート
7月31日 17時0分
マネックス証券

雇用統計直前レポート - マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部「米経済の「今」を読む -経済指標動向-」

ADP雇用統計(前月差) 7月 +21.8万人 市場予想 +23.0万人 前月 +28.1万人
(予想)非農業部門雇用者数 7月 市場予想 +23.1万人 マネックス証券 +22万人
FOMC結果発表

■ADP雇用統計は前月からの伸び鈍化も20万人を超える堅調な内容
米雇用関連会社のオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)が30日に発表した7月の「民間非農業部門雇用者数」は、前月から21.8万人の増加と市場予想(23.1万人増)を下回って、前月から伸びが鈍化した。


ただ、伸びが鈍化したとはいえ21.8万人増は、労働市場の堅調な回復の目安とされる20万人の増加を上回っており、悲観すべき内容ではない。むしろ米国の労働市場の回復が順調に進んでいることを改めて印象づける結果となった。以下で述べる通り、その他の労働市場関連指標も堅調に推移している。

グラフは週次で発表される労働市場の先行指標である新規失業保険申請件数の推移である。失業保険の申請件数が減少傾向を続けていることがご確認いただけるだろう。


■雇用統計予想
ADP雇用統計および新規失業保険申請件数の結果から考えると、政府発表の非農業部門雇用者数は前月の28.8万人増から伸びは鈍化するとしても、20万人増を超える堅調な数値となる可能性が高い。マネックス証券では市場予想はやや下回るが、ADP雇用統計の結果と整合的な22万人程度の増加を見込んでいる

■FOMC結果発表と示唆
29日、30日とFOMC(連邦公開市場委員会)が行われ、30日に結果が発表された。市場の予想通り毎月の債券の買い入れ金額が100億ドル減額され、250億ドルとなった。なお、債券買い入れは9月と10月のFOMCでそれぞれ減額され、10月のFOMC後に0となる見込みとなっている。

今回のFOMCの結果発表において、注目すべきポイントが大きく2つあった。それは(1)インフレに対する認識の変化(2)労働市場の改善について改善の質を重視することを明確化したことである。

まず、1つ目のインフレ認識についてだが、公表文書の最初のパラグラフで「インフレはFOMCの長期的な目標にやや近づいている(Inflation has moved somewhat closer to the Committee's longer-run objective.)」との表現が追加された。前回(6月開催)のFOMC後に公表された書面の表現は「インフレはFOMCの長期目標を下回っている(Inflation has been running below the Committee's longer-run objective)」だったため、物価上昇に対するFOMCの見解はやや強気に変わったことになる。

2つ目の労働市場については、「労働市場は失業率がさらに低下し改善を示している(Labor market conditions improved, with the unemployment rate declining further.)。」との表現で、改善を指摘した一方で、「しかし労働市場のその他の指標は、労働資源の活用不足が著しく残っている(However, a range of labor market indicators suggests that there remains significant underutilization of labor resources.)」と労働市場の質的な改善が不十分であるとの認識を示した。

FOMCはデュアルマンデートと呼ばれる「物価の安定」と「雇用の最大化」という2つの使命を負っている。今回、1つ目の「物価の安定」についてはインフレに対する見通しを引き上げ、利上げに向けて一歩進んだ印象を与えた一方で、2つ目の「雇用の最大化」について失業率の低下だけでは不十分であるという姿勢を強調した格好となっている。


FF金利先物の利回りの変化を見ると、今回のFOMCの発表を受け、利回りが0.5%に達する時期、つまりマーケットが利上げを見込んでいる時期は、2015年8月と従来(2015年9月)からわずかに早まったようである。秋以降、利上げ時期についての議論が本格化するとともに、マーケットが一喜一憂する局面が訪れるのではないかと考えている。

■用語解説
雇用統計(米国)
米政府による雇用環境を調査した統計。発表される統計のなかでも、失業率(働く意欲がある人口に占める失業者の割合)と非農業部門雇用者数変化(農業従事者を除いた雇用者数の増減)が市場で注目されやすい。通常は月初の金曜日に前月分が公表される。

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(マネックス証券)


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