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公認会計士・高田直芳 大不況に克つサバイバル経営戦略

迷走しつつも資金繰りを続ける
「したたかなJAL」の秘密

高田直芳 [公認会計士]
【第16回】 2009年9月18日
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 第12回コラム「ソフトバンク編」では、同社の決算短信などでしばしば用いられている“EBITDA”という指標の「メタボリック度」を検証した。一般的にEBITDAは大きいほど「望ましい」と考えられがちだ。しかし、この指標には支払利息なども含まれており、たとえ数値が大きくとも「借金太り」を見逃している可能性があることを指摘した。

 このように経営分析の世界ではEBITDAに限らず、理論的な背景が十分に検証されないまま、企業の決算書を渡り歩く経営指標が少なくない。今回取り上げる「フリーキャッシュフロー」もそのうちの1つであろう。
筆者もあれこれ取り組んでいるのだが、実はいまだに、その正体がよくつかめない怪物である。

 今回はその怪物「フリーキャッシュフロー」を、迷走を続ける経営再建中のJALとキャッシュフローの伸び悩みに直面する日立を例にして、理論的に求めていこう。

フリーキャッシュフローの単純な求め方

 小学館の『大辞泉』でフリーキャッシュフローの意味を調べると「企業が生み出したキャッシュフローから設備投資などの現金支出を引き、手元に残ったその期の事業活動による純現金収入」とあった。
式で表わすと〔図表 1〕になる。

〔図表1〕フリーキャッシュフローの計算式

 この定義はおそらく、米国会計基準に則って作成された決算書を参照したのだろう。

 ニューヨーク証券取引所に上場している日立製作所の決算短信(09年3月期、15ページ)を参照すると、そこに掲載されている「比較連結キャッシュフロー計算書」にフリーキャッシュフローまでが開示されている。科目に若干の修正を加えて、その要約を示すと〔図表 2〕になる。

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高田直芳 [公認会計士]

1959年生まれ。栃木県在住。都市銀行勤務を経て92年に公認会計士2次試験合格。09年12月〜13年10月まで公認会計士試験委員(原価計算&管理会計論担当)。「高田直芳の実践会計講座」シリーズをはじめ、経営分析や管理会計に関する著書多数。ホームページ「会計雑学講座」では原価計算ソフトの無償公開を行なう。

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公認会計士・高田直芳 大不況に克つサバイバル経営戦略

大不況により、減収減益や倒産に直面する企業が急増しています。この連載では、あらゆる業界の上場企業を例にとり、どこにもないファイナンス分析の手法を用いて、苦境を克服するための経営戦略を徹底解説します。

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