株式レポート
8月5日 17時0分
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(好調な米国経済+良好な企業決算)×急落=? - マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部「米経済の「今」を読む -経済指標動向-」

非農業部門雇用者数 7月 +20.9万人 市場予想 +23.0万人 前月 +29.8万人(上方修正)
失業率 7月 6.2% 市場予想 6.1% 前月 6.1%
ISM製造業景況感指数 7月 57.1 市場予想 56.0 前月 55.3
新車販売台数(年率換算) 7月 1648万台 前月 1690万台

■市場予想を下回るも堅調な伸び続く雇用統計
1日に発表された雇用統計で、非農業部門雇用者数は前月差20万9000人増と市場予想(23万人増)を下回った。前月分は28.8万人→29.8万人、前々月分は22.4万人→22.9万人分へそれぞれ上方修正された。マネックス証券では市場予想よりも弱い22万人増を予測していたが、それをやや下回る結果となった。失業率の市場予想は横ばいの6.1%だったが、0.1%上昇し6.2%に小幅に悪化した(グラフ参照)。


単月の数値で見ると非農業部門雇用者数は市場予想を下回ったが、悲観する必要はない。非農業部門雇用者数の前月からの増加数は今年の2月以降、6ヶ月連続で労働市場の堅調な回復の目安とされる20万人を上回っているが、これは1997年以来17年ぶりのことである。また、失業率は0.1%悪化したが、これは労働参加率が上昇したことによるプラスの側面であると考えられる。つまり、これまで職探しを諦めていたために失業者から除外されていた人が、労働市場の改善を感じて職探しを再開し失業者にカウントされるようになったために失業率が上昇したと考えられる。

■依然残る労働市場の“緩み”
堅調な回復を続ける労働市場だが、イエレンFRB議長が繰り返し指摘している通り、依然として労働市場の質的改善には十分ではない点が見受けられる。グラフに示したのは失業者の中で27週以上に渡って職を失っている「長期失業者」の割合と、本来は正社員として働くことを希望しているが経済上の理由からやむを得ずパートタイマーとして働いている人を広義の失業者として扱った「U-6失業率」の推移である。どちらも金融危機前(2004-2007)の平均には届いていない。これがFRBがQE3(量的金融緩和策第3弾)終了後も一定期間はゼロ金利政策を継続すると表明している理由である。堅調に回復している労働市場ではあるが、イエレン議長が求める“質的改善”を達成するまでにはまだ時間がかかりそうで、当面は緩和的金融政策が継続される見込みである。


■ヘッドラインは3年ぶりの高水準で、中身もしっかりのISM製造業指数
雇用統計と同日に発表された7月のISM製造業景況感指数はヘッドラインが57.1と市場予想を上回って前月から改善した。57.1は2011年4月以来約3年ぶりの高水準である。

さらに指数の内訳を見ていくと、内容も非常に良い。ISM製造業指数のヘッドラインは「新規受注」・「生産」・「在庫」・「雇用」・「入荷遅延」の5項目の単純平均で表される。7月分はグラフに示したように、新規受注(58.9→63.4)・生産(60→61.2)・雇用(52.8→58.2)・入荷遅延(51.9→54.1)がいずれも改善し、在庫(53→48.5)のみが悪化した。企業が新規受注の増加を受けて生産を活発化させ、雇用にも波及する好循環が見て取れる。米国企業の景況感は非常に良く、7―9月期も堅調に推移していると見て良いだろう。


■新車販売から見える堅調な個人消費動向
同じく1日に発表された新車販売台数は年率換算1648万台と先月(1690万台)から販売台数は鈍化したものの、4―6月期の平均(1642万台)を上回った。改めて米国の個人消費は堅調に推移していることが鮮明となった格好だ。


■急落した米国株式市場への対応
これまで見てきたように、(1)労働市場は堅調に回復しながらも緩みが残り低金利政策は当面継続(2)製造業の企業景況感は数年ぶりの高水準(3)個人消費は堅調推移と米国経済は好調と言ってよい状況にある。さらに佳境を迎えつつある4―6月期の企業決算も好内容だ。トムソン・ロイターの集計によれば8月1日時点で4―6月期のS&P500採用企業の決算は前年同期比7.7%増益見込みと、前週時点から上方修正が行われた。7―9月期以降は企業の増益率はさらに上昇すると見込まれている。

7月28日の週にダウ平均は500ドル近く下落し、年初からの上昇分を吐き出した格好となった。下落理由としては利上げの早期化観測やポルトガルの大手行の信用不安、アルゼンチンのデフォルト問題などが指摘されているが、結局マーケットの利上げ予想時期は来年の夏で大きな変化はないし、残る2つの問題は以前から取り沙汰されていたもので、あまり説得力のあるものではない。ダウ平均は足元の17,000ドルまで昨年7月末からの1年間で約10%上昇していた。結局高値警戒感から一時的な売りが出たという解釈がせいぜいではないだろうか。


繰り返し述べてきたように、米国経済は力強く推移し、それを裏付けるように企業決算も好調に推移している。バリュエーション面では予想PERがS&P500で16倍程度、ダウ平均は14倍台と割高感はない。ここへきて大きく調整している米国株だが、押し目を拾いに行く局面ではないかと考えている。直近2回の調整局面では200日移動平均線がサポートする格好で切り返した。今回も同様となるか注目したい。

■用語解説
雇用統計(米国)
米政府による雇用環境を調査した統計。発表される統計のなかでも、失業率(働く意欲がある人口に占める失業者の割合)と非農業部門雇用者数変化(農業従事者を除いた雇用者数の増減)が市場で注目されやすい。通常は月初の金曜日に前月分が公表される。

ISM製造業景況指数
ISM(Institute for Supply Management 供給管理協会)が発表する景気転換の先行指標である。供給管理協会が企業の担当者にアンケート調査を実施して作成しており、主要経済指標の中ではいち早く発表されることから景気の先行指標として重要視されている。数値が50を上回れば企業の景況感が好転、50を下回れば悪化していることを示す。製造業、非製造業それぞれ別に指標が発表される。

新車販売台数
オートデータ社が毎月月初に前月分を発表する米国の新車販売台数。販売台数は個人消費動向の確認に加えて、関連部品などが多岐にわたり製造業全体に影響をあたえるため注目を集める。

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(マネックス証券)


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