橘玲の日々刻々 2015年8月19日

橘玲が考える「世の中の仕組みと人生のデザイン」とは?作家・橘玲がメルマガ配信をスタート!

 経済、金融、社会問題などに潜む真実に鋭くメスを入れる作家・橘玲氏が、ダイヤモンド社グループが始めた有料メルマガサービス、DPM(ダイヤモンド・プレミアム・メールマガジン)でメルマガ配信しています。

DPMは、出版社ダイヤモンド社のベストセラー作家たちが、書籍の枠を超えてさらにディープで濃密な情報を読者にお届けするためにスタートした新たな情報ツールです。

 橘玲氏のメールマガジンのタイトルは『世の中の仕組みと人生のデザイン』。隔週木曜日の配信で定価864円(税込)。単行本の原稿を先行配信したり、雑誌やWEB連載では書ききれないディープな考察などを配信していきます。

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◆橘玲・メールマガジンサンプル


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【DIAMOND PREMIUM MAILMAGAZINE】世の中の仕組みと人生のデザイン
(2015年7月9日配信分より抜粋)
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 ここ何回か、犯罪と脳の関係について書いてきた。犯罪を遺伝的・生理的な要因から分析する神経犯罪学は近年、急速に進歩しているが、それによれば犯罪などの異常行動は脳の器質的な欠陥から引き起こされる場合が多い。とりわけ大量殺人など、常軌を逸した行動ほどこの傾向が顕著だ。

 こうした主張は、私たちのこころが脳のニューロンの活動から生じていることを考えれば当たり前ともいえる。ただし、それを素直に受け入れられるひとはそれほど多くないだろう。


■札付きの不良をゲームで更生させることは可能か

 愛情と思いやりに満ちた裕福な家庭で育てられたダニーは、早くも3歳の頃には手のつけられない問題児だった。ものを盗み、巧みなウソをつき、10歳で麻薬の売買に手を出した。成長してたくましくなると車を盗み、麻薬の取引のために母親から宝石を脅し取り、15歳の時には少年院に18カ月拘置されている。

 ワラにもすがりたい思いの両親は、少年院を出たダニーを「脳を変える」というあやしげな診療所に連れて行った。最初の検査では、前頭前皮質に過度の遅い脳波の活動が検出された。これは、覚醒度の低さの典型的な症状だ。

 診療所はダニーに電極が装着された帽子をかぶらせ、パックマンなどのビデオゲームをやらせた。これで集中力を維持し、覚醒度の低い未熟な皮質を鍛錬するというのだ。

 ここまで読んだひとは、バカバカしいと思うにちがいない。札付きの不良がゲームをやったからといって、いったい何が変わるというのか。

 だが現実には、その効果は劇的なものだった。1年間のセッションで、ダニーは通信簿にFが並ぶ非行少年からオールAの優秀な生徒に変貌したのだ。

 治療が完了したあと、ダニーは次のように過去の自分を述懐している。

「学校はまったくおもしろくなかったけど、犯罪にはほんとうに興奮した。とにかく、警官を出し抜いて派手に暴れ回りたかった。それがイカすことだと思ってたんだ」

 犯罪と心拍数の関係について以前述べたが、脳は家庭など外的な環境よりもむしろ体内の生理的な刺激から強い影響を受ける。覚醒度の低い子どもは無意識のうちにより強い刺激を求め、それが犯罪を誘発するのだ。

 もちろん、このダニーの例を一般化して論じることはできない。彼はもともと両親から高い知能を受け継いでいて、脳の覚醒度が低かっただけかもしれない。原因がわかったとしても、ビデオゲームで覚醒度を上げるのは脳の前頭前皮質だから可能なのであって、訓練によって心拍数を上げるのは(たとえ可能だとしても)ずっと難しいだろう。

 そう考えれば、ダニーはきわめて幸運なレアケースかもしれない。だがそれでも、医学的な方法で非行や犯罪を治療できる可能性があることは間違いない。


■去勢による性犯罪の再犯率とは?

 心拍数と並んでひとの行動(脳の無意識)に大きな影響を与えるのがホルモンだ。とりわけ男性の性犯罪者とテストステロン(代表的な男性ホルモン)の濃度の相関は明らかだ。

 ところで、テストステロンのレベルはかんたんな外科手術で引き下げることができる。男性ホルモンは睾丸でつくられるのだから、去勢してしまえばいいのだ。

 ヨーロッパでは、性犯罪者に対して、本人の同意にもとづいて去勢手術が行なわれることがある。そこでドイツの研究者が、去勢手術を受けた99人の性犯罪者と、受けていない35人の性犯罪者を、釈放後平均して11年間追跡調査した。

 その結果、性犯罪者の再犯率は、去勢手術を受けた被験者が3%、受けなかった被験者が46%と、15倍もの大きな差があった。

 ヨーロッパの2055人の去勢した性犯罪者を対象に行なった調査では、20年以上の期間での再犯率は0~7.4%と報告されている。去勢は性犯罪に対する特効薬とはいえないが、テストステロンが引き起こす性犯罪は確実にあり、それに対して去勢は大きな効果があるのだ。

 こうした議論をグロテスクに感じるだろうか。

 だがドイツの調査では、去勢者の70%は処置を受けたことに満足を感じているという。

 テストステロンの濃度がきわだって高いと、幼児や女性(同性愛者の場合は少年や男性)に対してとてつもない性的欲望を感じる。これは脳の無意識のはたらきなので、意識ではそれが間違ったことだとわかっていても、本人の意思ではどうすることもできない。このように「意識は無意識の奴隷」と考えるならば、物理的な方法でテストステロンの濃度を引き下げることは、本人にとって“解放”と感じられることもあるのではないだろうか。


■「ロンブローゾ・プログラム」

 2006年、殺人容疑で逮捕された者の22%は、執行猶予中、もしくは仮釈放中だった。そこで犯罪学者たちは、機械学習を用いた統計技術を駆使して、その仮釈放者が再び殺人をおかすかどうかの予測を試みた。それは基本的な人口統計的データと犯罪前の履歴データを使った単純なものだったが、それでも釈放後2年以内に殺人罪で告発される者を43%の確率で正しく選び出した。――これはもちろん、予測された者が殺人者にならなかったケースが53%あったということでもある。

 こうした研究成果の蓄積を受けて、犯罪学者のエイドリアン・レインは『暴力の解剖学』(紀伊國屋書店)で、「ロンブローゾ・プログラム」という犯罪者早期発見システムが運用される近未来社会(2034年)を描いている。

 このプログラムは、犯罪をはじめて生物学的に研究した19世末のイタリアの医師チェーザレ・ロンブローゾの名にちなんだもので、「殺人に対する法的攻撃態勢――犯罪者の選別のために脳研究作戦」の略でもある。

 ロンブローゾ・プログラムでは、18歳以上の男性は全員、病院で脳スキャンとDNAテストを受けなくてはならない。

「基本5機能」の検査は、(1)構造的スキャンによる脳の構造の検査、(2)機能的スキャンによる安静時の脳の活動の検査、(3)拡散テルソルスキャンによる白質の統合度と脳の接続性の検査、(4)MRスペクトロスコピーによる脳の神経科学の検査、(5)細胞機能の精査による細胞レベルでの2万3000の遺伝子における発現状態の検査、からなる。

 ちなみにこれらの検査は現在の医療技術で可能なもので、それによって、LP-V(ロンブローゾ陽性-暴力犯罪)に属すると評価された者の79%は重大な暴力犯罪を、LP-S(ロンブローゾ陽性-性犯罪)の82%はレイプか小児性犯罪を、LP-H(ロンブローゾ陽性-殺人)の51%は殺人を、5年以内に犯すと予測することができる。――これも架空の話ではなく、実際のデータから推計されたものだ。

 ロンブローゾ・プログラムは次のように実施される。

 いずれかの基準で陽性と評価された者には、特別施設への無期限の収容が言い渡される。擬似陽性のおそれもあるため、陽性と評価された者は評価に異議を唱え、第三者による再テストを要求する権利が法的に保証されている。

 収容施設は厳重な管理の下に置かれているが、彼らはまだいかなる犯罪もおかしていないのだから、第二の家庭として機能するよう意図されており、週末には配偶者の訪問も許される。レクリエーションや教育にも配慮が行き届いていて、選挙の投票もできる。

 収容者には教育など社会的なものだけでなく、薬物治療や脳深部刺激療法など、脳科学的なさまざまな治療がほどこされ、それによってLPステータスも変わるため、全員が毎年再テストを受ける。また、もっとも犯罪をおかしやすいのは思春期から青年期なので、年齢とともに自然にLPステータスが正常範囲内に戻る者もいる。こうした収容者は保護観察期間を設定して社会に戻され、それを無犯罪で終えればLPステータスは完全に外されて一般市民として生きていくことができる。

 また本人の希望によるが、LP-S(ロンブローゾ陽性-性犯罪)で収容された者は、去勢によってテストステロンの濃度を下げれば出所が認められる。

 潜在的な犯罪者の管理を始めた政府は、次にLP-Pというステータスを導入する。これは「ロンブローゾ部分陽性」のことで、施設に収容するほどではないが、一般市民に比べて犯罪をおかす危険性が有意に高い層だ。警察はLP-Pと評価された者のデータベースを保有しており、犯罪捜査にあたっては容疑者としてまずこのデータベースが参照される。

 ただしLP-Pの多くは犯罪とは無縁の人生を送るのだから、このデータベースは厳重に管理され、本人にもそのステータスは知らされることはない。

 これらの措置によって、殺人などの凶悪犯罪の発生率は25%程度低下するだろうとレインは予測している。


■子どもが成人後に犯罪者になる確率がわかる

 ロンブローゾ・プログラムの成功を受けて、政府は次に「全国子ども選別プログラム」を開始する。これは10歳の子ども全員を対象に、生理機能、心理、社会関係、行動の評価を行ない、それを幼少期のデータと統合しながら分析することで、将来の犯罪を予測しようとするものだ。

 このプログラムが洗練されてくれば、親は、「あなたの長男が成人後に暴力犯罪者になる可能性は48%、殺人をおかす可能性は14%あります」などという報告を受けることになる。

 もちろん、まだなんの罪もおかしていない子どもを強制的に施設に収容することなどできない。しかし危険因子のある子どもを持つ親には、2年間、親元を離れて集中的なバイオセラピーを受けさせる選択肢が与えられる。このセラピーによって、子どもが成人後に犯罪者になる確率を有意に引き下げることができる。

 犯罪の生物学的基礎を考えるならば、10歳のときに矯正を始めても効果に限界がある。そこで政府は、遺伝的な問題や乳幼児期の家庭環境に対処するため、「子どもを産むにはまず免許を取得しなければならない」という法律をつくかもしれない。自動車は社会にとって有益だが、同時に危険でもあるので、車の運転には免許の取得が義務づけられている。それと同様に、新しいメンバーは社会にとって必要だが、同時に市民社会に対する脅威にもなりかねないのだから、「親の免許制」の発想が出てくるのは当然なのだ。

 親の免許制は、「親のよき行動は、子のよき行動を導く」をスローガンに、子どもの人権と保護をなによりも優先する。

 免許の取得にあたっては、男女は妊娠前に養育に関する基本知識を習得する必要がある。それは生殖機能の仕組みから始まって、胎児期の栄養補給、ストレスの除去、乳児の欲求、成長期の子どもに対するしつけやサポートの仕方、ティーンエイジャーとの接し方などで、その最終目標は責任ある市民になることだ。免許制によって親への教育が徹底されれば、煙草やアルコールによる胎内環境の汚染で脳に器質的な障害が生じるような不幸な事例を防ぐことができるだろう。

 親の免許制では、試験を通って免許を取得しなければ出産が許されない。これは当然、学習障害を持つひとたちへの差別として大きな問題になるだろう。だがそれでも、「安全な社会」を求めるひとびとの要求の方が強ければ、将来、このような制度が導入されたとしても不思議はない。


■「脳科学による監視社会」は許容されるのか?

 もちろん、こうした「脳科学による監視社会」に抵抗を持つひとは多いだろう。だがレインは、ここで次のようなデータを提示する。


※メールマガジンを一部抜粋して掲載しています。


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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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