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降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第84回】 2014年8月9日
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 今年は、ゴジラ生誕六〇周年になる。還暦なのである。ハリウッドで映画『ゴジラ』が製作されたことと相まって、BSでも民放でもゴジラ特集が組まれている。

 過日、昭和二九年製作の『ゴジラ』を初めて見たのだけど、正直言って驚いた。

 というか、惚れ惚れしてしまった。上映当時は日本国民の十人に一人が見たと言われているが、日本の映画会社は六〇年も前……、換言すれば終戦からわずか九年でこんなすごい映画を作っていたのか、と驚かされた。

 ストーリーは披露しないが、物語に哲学があり、随所にリアリティがちりばめられていた。たとえば、人間は何故、愚かしい水爆実験などを繰り返すのかといった問いかけだったりするのだけど、とにかく感心したのは、ゴジラが歩いたあとの放射能残留値を、科学者たちが測定する場面だ。

 ご存じのとおり、ゴジラは海底深く眠っていたところを、水爆実験が目覚まし時計の役割を果たし、地表に現れる怪獣です(ハリウッドでは、放射能による突然変異とされている)。いずれにせよ放射能を浴びているから、ゴジラが歩いたあとは、岩場だろうが市街地だろうが、放射能が残留するんですね。

 まだゴジラが画面に登場する前、巨大な足跡(窪地)を見つけた科学者がガイガーカウンターの数値を見ながら首をひねる。おかしい、どうしてこんなところで放射能を探知するんだとか、島のこちら側の井戸だけが放射能に汚染されているのに、山をはさんだ向こう側の井戸には何も問題がないのは何故だ、とか。

 CG技術のない時代の特撮能力の高さもさることながら、これは大人が見ても楽しめる映画だ、というのが私の感想です。でも、その後のゴジラは……、あくまで個人的な感想ですが、ウルトラマンと大差のない、ただ怪獣をやっつけるだけの子ども映画になってしまったように思う。俳優に演技力すら求めてなかったみたいだし(あくまで個人的な意見です)。

 映画『ゴジラ』は、日本発祥で、なおかつ世界で通用する映画になっていてもおかしくはなかった、と私は思う。だが、残念ながらそうはならなかった。

 どうなったかと言うと、一九九八年に『GODZILLA』のタイトルでリメイクされた。監督は『インデペンデンスディ』のローランド・エメリッヒだが、どちらかというと『ジュラシックパーク』っぽい仕上がりで、ふ~ん、アメリカ人がゴジラを映画にするとこうなるのかあ、といった印象だった。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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