このような自問法は、自分の内面についての洞察を深め、ものの見方や行動を変容させていく方法です。効果を高めるために、次のような点に留意しましょう。

 ・毎日、自分に問いかける「振り返りの時間」を設ける

 ・邪魔が入らず、リラックスでき、インスピレーションが湧くような時間や場所、環境を選ぶ

 ・自問法で得られた経験や洞察、変化した考えを日記に書き留める

共感力を高めるトレーニング法

 共感力は、6つの流儀の基本とも言える重要な要素です。共感力なしに、ファシリテーションを行なうことはできません。意識的に共感力を養おうと努めていると、苦しみや痛みの理由が見えてくるようになります。

 共感力を高めるには、まず自分自身の感情を丁寧に取り扱うことが必要です。自分を尊重できない人に、他人に共感し尊重することはできないからです。

 共感力を高めるトレーニングには、自分の感情が動いた体験を記録する「共感日記」や、相手の感情を息と一緒に飲み込み、身体全体に流し込みしっかりその感情とつながる「共感呼吸」などがあります。

事前準備をしすぎるということはない

 ミーティングの直前に、あなたはどんな準備をしていますか。議題の見直しや資料の確認、会議室の準備……。こうした作業も大切ですが、ファシリテーターにはもっと重要な準備があります。

 それは、自分のリズムを整えて目的を確認することです。

 一流のアスリートやミュージシャンは、本番に臨む前にさまざまな「儀式」を行ないます。なかには迷信じみたものもありますが、多くは「いま、ここ」に集中するために行なわれます。ファシリテーターも、ストレスの強い状況の下で結果を出すことが求められます。自分らしくリードできる状態で会場に入るためには、自分自身を整える準備が重要なのです。

 会場には余裕を持って入り、まず自分に問いかけてみましょう。

 「私は、なぜここにいるのか

 「誰のために、話し合いをファシリテートするのか

 シンプルですが、自分の役割と志を再確認するうえで重要な問いです。