中国 2014年11月19日

これから10年、中国もアジアも激動する。
そのなかで起業家はなにをなすべきか?【第3回】

お金儲けの神様「邱永漢」人生最後の弟子で、2005年より中国四川省成都に在住。日本生まれの韓国人で、現在はグループ会社3社の社長兼取締役を勤める金さんが、中国バブルの行く末を考えます。

前回、成都の商業施設を例にあげて、中国では不動産市場のコモディティ化しており、需要供給バランスの不均衡による調整は避けられない、という話をしました。それでは、中国のバブルが崩壊するとアジア経済はどうなるのか?

 さらに問題なのは、こうした案件と国内の多様な金融商品(投資信託等)が複雑に絡み合っているということです。

 これまで中国が稼いだ莫大な外貨はあらゆる通り道から中国国内の市場に流れ込みました。銀行が国内の中小企業に融資を積極的に行わなかったのはかつての日本とたいして変わりはなく、その代わり「儲かりそうな」産業をめがけてお金が走り込んだわけです。

 そのプロセスの中で、マネーは信託や銀行が販売する基金等にうまく服を着替えて金融商品となり、広くお金を集め、一部分は国内の商業施設の開発に、そしてまた一部分は「地下銀行」などを通じてアジア全体に流れ出たわけです。

 このマネーの流れを理解すると、アジア諸国の経済成長の本質と、「中国とアジアが次にどうなるか」という景色が見えてきます。

フィリピンの高成長を生み出したもの

 私がここ数年、年に100回も飛行機に乗ってアジアじゅうを回る中で気になったのは、アジア諸国の経済発展の表面的な数値と実態の差です。

 フィリピンがもっとも印象的でしたので、その例を挙げます。マニラで開発が加速するマカティ地区は恐ろしくおしゃれな場所に仕上がっていますし、クラブなんかもかっこいいところがいっぱいあります。町には人が溢れ、モールにもたくさんの人が歩いています。

 マニラに滞在していた私はその夜、フィリピンに詳しい友人ととあるクラブに行きました。格好いい男たちと着飾った女性が溢れる中で、とくに目を引く美しい女性が私の隣に座りました。

 ジントニックをごちそうしてしばらく話すうちに、彼女が「今晩どう?」と私を誘いました。喉の奥でつばを飲み込む音が脳天に届くのを確認しながら、同時に私は彼女をじっと見つめました。

 美人でした。英語のレベルも高く、話を聞くと商売の女性ではなく地元の大学生でした。こんなに美しく、知的な女性がなぜ?と頭が考え始めると、急に侘しさの霧が心を満たしました。

 昼間に聞いた、「フィリピンは国内産業が未発達で二次産業が弱い。国の総生産の20%が海外に出稼ぎに行く人間からの送金によって占められ、なおかつ国内の実質的な失業率が約50%もある」という話が、私のモヤモヤする気持ちに冷や水をかけました。

 その後、くだらない話しをして、もういっぱいジントニックをごちそうすると、私は丁寧にお礼を言って、友人に「帰ろう」と告げてホテルに戻りました。


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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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