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中国から覇権を取り戻せるか?
隠れた天才が握る「卓球王国」復活への道

城島 充 [スポーツライター]
【第5回】 2008年3月4日
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 中国・広州で開かれた卓球の世界選手権で、日本は1979年の平壌大会以来29年ぶりに男女ともメダルを獲得した。福原愛や石川佳純ら女子選手に話題が集中していた卓球界だが、これからは男子の「水谷隼」の才能と可能性に注目してほしい。

メダル獲得の立役者
『ピンポン王子』の才能

 2年前の前回大会は史上最低の14位だっただけに、台湾を破ってメダルを確定した男子チームの宮崎義仁監督は「低迷期からやっと復活期にはいった」と話した。

 その最大の立役者が、若干18歳にして全日本選手権を連覇している水谷隼だ。準々決勝で強敵ドイツを破ったときには、「ファンタジスタ」と形容される多彩なテクニックと流れるような動きで会場をわかせ、韓国との準決勝でも敗れたものの、最後はアテネ五輪シングルス金メダルの柳承敏とフルセットにもつれこむ激闘を繰り広げた。
 
 静岡県豊田市の出身。5歳のときからラケットを握り、青森山田中2年のときにドイツに卓球留学。スペインジュニアオープンで国際舞台に登場すると、強豪国のコーチたちから「隼をバッグにいれて持ち帰りたい」と、その将来性を絶賛された。最年少で全日本を制する前も、世界ジュニア選手権で団体優勝、シングルスでも準優勝を果たしている。

 サウスポーのシェイクハンドからのやわらかいラケットさばきと、自由自在なドライブコース。世界レベルの卓球は究極の反射神経と瞬時の判断力を求められ、「100メートル走をしながらチェスをするような世界」といわれるが、専門誌は水谷について『わずかな時間を長く使うことを許された数少ない人間』と書く。

ブレイク前夜の素顔

 今から2年前、名古屋で開かれた「トヨタカップ」の閉幕パーティでまだ16歳の水谷と顔をあわせたことがあった。このとき、彼は自らの写真が大きく紹介された専門誌を手に、撮影したカメラマンをつかまえてこんなことを言っていた。

 「もっとかっこよく撮ってくださいよ。これじゃ、『ギター侍』じゃないですか」

 「俺のカメラのせいじゃないよ。君の顔がもともと波田陽区に似てるんだって」

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城島 充 [スポーツライター]

1966年生まれ。産経新聞の社会部記者を経てフリーに。戦前に来日したフィリピン人ボクサーの悲哀を描いた「拳の漂流」(講談社)でミズノスポーツライター最優秀賞、咲くやこの花賞を受賞、近著に卓球界の巨星・荻村伊智朗の生涯を卓球場の女性場主の視点から描いた「ピンポンさん」(講談社)。「Number」誌などに多数のノンフィクションを発表している。


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