橘玲の日々刻々 2014年8月18日

“危険ドラッグの蔓延”を防ぐ近道は「大麻合法化」かも
[橘玲の日々刻々]

 脱法ハーブによる暴走運転が社会問題になったことで、「危険ドラッグ」に名前が変わりました。厚生労働省は、アンケート調査などをもとに、危険ドラッグの使用者を40万人と推定しています。

 危険ドラッグはなぜこれほど蔓延するのでしょうか。

 私的行為に刑罰を課すのは国家による暴力の行使なので、法治国家ではその要件が法によって厳しく定められています(罪刑法定主義)。ところが技術の進歩によって、化学構造の一部を変えることで、麻薬と同様の効果を持ちながら法では規制されないドラッグをつくることが可能になりました。

 危険ドラッグで逮捕された業者は、住宅街にプレハブ小屋を借り、主婦などを雇って、中国から輸入した原料に植物片を混ぜて「ハーブ」として販売していました。原料の入手元さえ確保できればかんたんに製造でき、「飛ぶように売れて金銭感覚がおかしくなる」ほど儲かったそうです。

 ドラッグが裏社会の大きなビジネスになるのは、国家が違法とすることで、まともな業者が市場から排除されるからです。その結果、刑務所に行くことを恐れない一部のひとたちが市場を占拠し、法外な利益を手にすることになります。

 生命にかかわるような毒物をきびしく規制するのは当然ですが、すべてのドラッグを禁止すればいいというわけではありません。ドラッグを合法化して法の管理の下に置けば、利潤を求めて多くの企業が参入し、非合法な業者をすべて淘汰してしまうでしょう。そのうえドラッグの製造・販売から得る利益に課税できるのですから一石二鳥です。

 これはべつに荒唐無稽なことをいっているのではありません。アルコールは意識の変容を起こす典型的なドラッグで、イスラム圏では禁止されていますが、日本を含む先進諸国は合法化しています。その結果、毎年のように飲酒運転の悲惨な事故が起きますが、これは社会的コストとして許容されているのです。


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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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