社長は、聖人君子でなくてもいい

 のっけから恐縮ですが、私は、飲む、打つ、買う、バンバンで5拍子揃っていまして、高校2年生の娘からは、「パチンコおやじ」とか「キャバクラおやじ」とからかわれています。

 私が経営する「株式会社武蔵野」では、社長のスケジュールがすべてウェブ上で公開されていますから、社員は、私が足しげく歌舞伎町に通っていることも、ときおり娘と東京ドームで野球観戦していることも知っています。

 なんで隠さないのか?いいんです、本当のことだから。それに、社員だって上手にサボっているのですから、社長だってたまにはサボってもいいんです。最近は仕事が忙しくて、品行方正ですが…。

 多くの会社の社長が、「社長は、聖人君子でなければならない」と思い込んでいるようです。でも、それはただの「妄想」にすぎません。
社員が社長に求めているものは、「安定した生活ができること」であり、

 「聖人君子になること」ではありません。社会通念上許される範囲であれば、少々動機が不純でもいい、と私は思います。「経営」の結果さえ「清い」ものであれば、動機は不純でもいいんです。

 たとえば、

・キャバクラには行くけれど、社員の給与が安定的に上がる社長
・立派な人徳を持っていながら、毎年赤字で賞与ゼロの社長

の2人の社長がいたとしたら、どちらについていきたいと思いますか? 

 「武蔵野」の社員は、全員が「前者」と答えるでしょう。それが社員の「本音」です。

 「武蔵野」の社員が小山昇についてくるのは、「武蔵野」が創業以来、売上を伸ばし、清い結果を上げ続けてきたからです。

経営の見える化で
増収増益を実現できた

 「武蔵野」の主な事業は、ダスキン事業(ダスキンの加盟店業務)、経営サポート事業(武蔵野の経営のしくみを紹介する業務)、ボイスメール事業(個人のメールボックス宛に声やファックスを送信できるサービス)、プロバイダ事業の4つです。

 社長は5拍子揃った人間で、さらに、幹部社員の3分の1は元暴走族というおまけ付き。20年前の「武蔵野」は、正真正銘の「落ちこぼれ集団」であり、大卒は私だけ。といっても、大学を卒業するまでに9年もかかった落第生です。

 ところが今では、メキメキと力をつけ、成長を続けています。

 ダスキン事業のシェアは、エリア(東京都小金井市)内で約80%。経営サポート事業の会員は300社以上。「武蔵野」の売上は増収増益が続き、銀行からも高い評価をいただいています。