「なぜ俺たちほど働こうとしないのか?」
草食系社員を嘆くバブル入社組の管理職

 本連載「黒い心理学」では、ビジネスパーソンを蝕む「心のダークサイド」がいかにブラックな職場をつくり上げていくか、心理学の研究をベースに解説している。

 そういった「心のダークサイド」というのは、実は、一見ブラックとは思えない、ほんのちょっとした考え方が発端となってしまうことが多い。今回はその実例をお見せしたい。

 筆者と同じ世代の人々は、現在40歳台後半から50代くらいで、そこそこの役職に就いている者もいるし、ニート、フリーターの先駆けになっている者もいる。共通しているのは、就職した時期や新入社員の時期が1980年台後半から90年代初頭という、いわゆる「バブル世代」という点だ。

 先日、そんな同世代の1人で、今はある企業の人事部にいる知り合いと話をした。彼が嘆いていたのは、今の草食系社員の「やる気のなさ」だ。

「なんで彼らが、俺らほどに働こうとしないのかって言うとさ――」

 彼はこう続ける。

「もう、話になんないの。だって大事な契約日に担当なのに遅刻してきて、理由が『電車が事故で遅れて』。乗っている途中で起きて、降りられなかったならともかく、駅で知ったんだぜ。タクシーに乗ってでも、来るべきだろう」

 草食系社員に対する愚痴は、さらにエスカレートする。

「もちろん、全員がそうだってわけじゃないけど、だいたいあの世代は、飲み会は参加しようとしないし、仕事にも野心というか、強い意欲みたいなものはない。そのくせ、『うちの職場はブラックじゃないですか!』なんて言い出すんだよ。なんでなのかねえ」

 そして彼は、自分たちの新入社員時期には、いかに一生懸命働いていたかを語る。そんな彼の話を聞きながら、筆者はあるバンドのヒット曲を思い出していた。ユニコーンだ。