事業内容や主要製品・サービス、業績の推移や業界内でのポジショニングなど、内定に至るまでに学生が知り得る情報というのは、客観データが中心になります。

 会社説明会やOB訪問などを通して、そこで働く人の肉声を聞き、その会社での働き方の一端に触れることはあるでしょうが、「実際の社風」や「働く喜怒哀楽」などは、なかなか把握しづらいものです。

 もちろん、実際に働いていないのですから、そのような会社内の文章化されていないような情報は、そもそも把握しづらいものです。

 しかし、それがわからないことが、学生にとって不安の種になることには注意が必要です。

 4月から、自分がどのように働くか。どんな仕事をすることになるのか。また、どんな先輩がいて、彼らとうまくやっていけるのか。そんな疑問が不安を生むことになります。

 もちろん、事前にそれらに答え、不安を解消することは不可能です。

 ただ、不安を軽減することはできます。

 まずは人事の方、もしくはさまざまな部署の先輩社員が、なんらかのかたちで仕事と会社について語り、コミュニケーションを図ることが必要です。

 そのコミュニケーションのとり方によっては、不安を軽減し、かつ期待に変えることも可能でしょう。

内定者の「素の姿」を知ることもできる

 ある中堅メーカーでは、内定者一人に先輩一人がメンターとなり、入社にまつわる疑問に答えるようなコミュニケーションを図っている、といいます。

 それも有効な方法でしょう。

 もちろん、業務を抱えた社員は、なかなか業務外のフォローに時間を割けないかもしれません。

 でも、短い時間でかまいませんし、週一回というように頻度は少なくてもいいのです。