新聞紙1枚の「狭いスペース」を磨けば、
“気づく力”が育つ

 感性は頭で理解するものではなく、汗水垂らして体得するものです。

 床を磨いたり、蛍光灯を磨いたり、トイレを磨いていくうちに、社員の感性も一緒になって磨かれていきます。

 毎朝30分、1日も休まずに磨いていると、「ここに少しデコボコがあるな」「柱に小さな傷がついているな」「そろそろ電球を換えたほうがいいな」「エアコンのフィルターも換えどきだ」と、いろいろな気づきが生まれます。

 気づきの感性を養うには、一人の担当範囲を広くしすぎてはいけません。
 狭い範囲に集中したほうがいい。
「新聞紙を広げたくらいのスペース」を徹底して磨き込んだほうが、細かな汚れや微小な傷に気づくことができます。

「この部屋全体を30分で掃除をする」のと「新聞紙1枚のゾーンを磨く」のでは、後者のほうが気づきやすい。それに、新聞紙1枚のゾーンなら、「ワックスを剥がして塗り直す」など丁寧な作業が可能です。

「心の教育」はダメ、「形の教育」を!

「環境整備」は、物の向きをそろえたり、置き場を決めたり、物を捨てたり、キレイに磨いたり、すべて「目に見えるもの」です。徹底的に「形」にこだわっています。

 私は、徹底して「形の教育」をしています。「心の教育」はしていません。 なぜなら、

「心の成長は、測ることができない」
 からです。

 長さを測る道具はモノサシ。重さを量る道具はハカリ。では、マインドを測る道具は……、ありません。

 多くの会社で社員教育がうまくいかないのは、「形の教育」よりも先に、「心の教育」をするからです。

 もちろん、社長は、社員の「心」を育てなければいけない。全社員の心を一つにできれば、会社は強くなるからです。

 では、どうすれば社員の心を一つにできるのですか?