情熱の源泉、「一生懸命」

出雲 私は、ずっと科学だけを突き詰めて世界を救おうとするのは無理だと思っています。時にはノブさんのところで美味しいものを食べたり、素晴らしい景色やアートを見て、人生にインスピレーションを得る。それを私はミドリムシでお返しをしている気持ちでいます。

松久 僕たちの原点はいっしょですよ。僕は本当にひとりひとりのお客さんに料理をつくって笑顔を楽しみにしている。ミドリムシも世界を救うというテーマから始まって、目の前の人を幸せにしている。それを喜んでもらうように、人を幸せにするようにやっている原点は同じです。

 そして、チャレンジをする情熱を持っている人は、一生懸命がんばっていれば、必ずチャンスが与えられると思います。僕はチャンスを与えていただいたら、いつも「今の自分のベストを尽くしてみよう」と思ってやってきました。100%の自分のベストを出すことは不可能だったかもしれない。でもそうした時には、チームとして僕をサポートしてくれる人も現れる。そうした人たちといっしょに、どんどん大きくなっていけるんです。僕は今までそうした生き方をしてきたつもりです。だから自分が一生懸命やっている時、実はいちばん安心できて楽なのです。

出雲 完全にマグロですね。本当に死ぬまで止まらない。

松久 出雲さんもやっぱり一生懸命に、階段を一歩一歩上がっていかれた。いろんな壁にもぶちあたったけれど、諦めないでもくもくと研究を続けてこられた。僕は今、お互いに似ているところがすごくよく分かります。僕は今日、お会いして「やっぱりな」と思いました。出雲さんは、私が本の中で出会った出雲さんの通りの方でした。
   
 ミドリムシをつくるために1から100までの階段を情熱的に歩んでこられた。「ミドリムシの科学」の方程式ができた気持ちはどんなものだったんでしょう?