副都心線と接続したため、東横線の利用客がそのまま新宿池袋方面に向かうようになったのが後退の原因か、それとも、ただ単に使い勝手が悪いから渋谷駅を利用する人が減ったのかは定かではないが、利用客減は、実はかなり深刻な問題なのである。

 二〇一二年度のJR渋谷駅利用客は、一日あたりおよそ四一万二〇〇九人だったのに対し、一三年度は八%減の三七万八五三九人。この変動が五位転落の背景にあるが、一日の利用客が二万五〇〇〇人も減ると、年間の減収は二〇億をくだらないのだそうだ。

 駅長さんも頭を痛めていることだろう。それとも、東横線の副都心線接続を恨んでいるとか。でも、利用客の誰もが恨んでいるのは、あんなわかりにくい駅にした東急グループだ。

 かつての東横線は渋谷駅が終点で、私くらいの年代では「かまぼこ駅舎」が馴染みだった。かまぼこ形の屋根が八つ、並んでいたのである。

 ホームの途中に地上階の改札に降りる階段があったが、東横線の改札と言えば二階で、改札を抜けて右に行けば、いまヒカリエがある場所に東急文化会館があった。たしか、五島プラネタリウムがあったのも、ここだ。何度かデートしたな。

 みんな天井の星を見ているからいちゃいちゃしてても誰も気づかなかった……、という話は措いといて、東横線の改札を左に折れて階段を登ると、すぐ左手が山手線の改札で、右手の階段を登れば銀座線の改札があった。いったん登った階段を降りて右に曲がって左に曲がると、突き当たりが井の頭線乗り場だ。

 山手線への乗り換えも、銀座線、井の頭線への乗り換えも楽ちんで何の不満もなかったのに、たった一年半前の渋谷駅がもう懐かしいのは、やはり使いにくい駅を使わされているからなのだろう。

 この、わかりにくい駅を設計したのは、安藤忠雄さんらだそうだ。

 建築のプロのための専門情報サイト『建築知識』ってところに、こんな説明があったのでコピペしました。

『デザインの特徴のひとつは、改札のある地下2階のコンコースから地下5階のホームまでを貫く楕円形の吹抜けだ。3層の吹抜けは空間のダイナミズムを生みだすと共に、電車の排熱などによって暖められた空気を、上方に逃がす役割を担っている。大規模な地下駅で全面的に自然換気を採用するのは世界にも例がないという』