これからさまざまな工事に着手するってことは、結局はゼネコンが喜ぶだけで利用客の私たちは待たされ、不便な思いをするんだよね。

 来春には北陸新幹線が開業し、これまでは東京からもっとも行きづらかった富山県に簡単に行けるようになる。また、東京オリンピックにあわせ、東京モノレールの始発と終点を現在の浜松町駅から東京駅まで延伸したり、JR東日本も新線新設を打ち出している。

 鉄道改革が進められる中、渋谷駅の有り様だけがどうにも時代を逆行しているように思えてならず、また、ぐったりするほど歩かされる駅を利用する気にもなれず、最近は武蔵小杉駅で南北線か目黒線に乗り換え、JR目黒駅まで行って山手線に乗り換えるか、中目黒から日比谷線に乗りJR恵比寿駅で山手線に乗り換えたりしている。渋谷駅で歩かされる時間を入れると、このほうが効率的だったりするから不思議。精神的にも苛々しないし。

 というわけで、皆さんも渋谷駅なんかもう使わず、お隣の恵比寿か目黒駅を利用しては……、なんてことは言わないが、さきの建築家・森山高至氏が、渋谷駅利用客の怨念を見事に言い表している。

「副都心線と繋がる前は、東横線が始発駅で何本ものホームが並んでおり、人の逃げ場になっていました。また、改札口から出たら、JR、井の頭線、半蔵門線、銀座線と、上下左右に行き先が分かれるので、人が渋滞しなかったのです」

 新しい渋谷駅では、その機能が失われた。

「東横線渋谷駅を地上で始発駅のままに留めておかなかった罪は深いですよ」

 強気の東急電鉄には、利用客の怨念が届いているだろうか。

 先月、どうしてもセルリアンタワー東急ホテルを利用しなければならず、渋谷駅で降りたときのことだ。東横線のホームで、営業途中らしいビジネスマンが駅員をつかまえ、モヤイ像に出るにはどうすればいいかを訊いていた。JR渋谷駅南口である。

 私も気になったので聞き耳を立てていたら、いまのところ、モヤイ像まで真っ直ぐ行けるルートはなく、それどころかモヤイ像とは反対側のヒカリエまで行ってJRの駅舎をぐるりとまわってもらうしかないと駅員が応えていた。銀座線に乗るよりさらに遠い。

 ビジネスマンはブチ切れていたが、ここはブチ切れていい場面だと私は思った。

参考記事:日経新聞7月4日
新潮45(8月号)他