橘玲の日々刻々 2014年9月8日

タイ代理出産の日本人男性が
セックスではなく子作りを目的にした真の理由とは?
[橘玲の日々刻々]

 タイのバンコクで、24歳の日本人男性が代理出産により16人の乳幼児の父親になっていた事件が話題を集めています。

 その後の報道によれば、男性はカンボジアのプノンペンに子どもたちの養育施設を用意し、毎年10~15人の子どもをもうけ、自分の精子を冷凍保存して最終的には1000人の子どもをつくる計画を立てていたといいます。男性は代理母の斡旋業者に対し、「世界のために私ができる最善のことは、たくさんの子どもを残すことだ」といったそうです。「事実は小説より奇なり」といいますが、こんな荒唐無稽な話はSF作家でも思いつかないでしょう。

 ひとびとが衝撃を受けたのは、件の男性が著名なベンチャー起業家の長男で、自分の計画を実現するのにじゅうぶんな財力を持っていたことでした。代理出産が商業化された世界では、その気になれば無限のクローンをつくることもできてしまうのです。

 中国やインドの経済成長で明らかなように、グローバル資本主義は世界じゅうの貧しいひとびとの生活を劇的に改善しましたが、その一方で、一代で数兆円もの資産を築く超富裕層をも生み出しました。

 衣食住などヒトの基本的な欲望には物理的な限界がありますから、資産が10億円を超えれば、生きているうちにそれを散財するのは至難の業でしょう。こうして、「使い切れないお金をどう処分するのか」という新しい問題が生まれました。

 ビル・ゲイツやジョージ・ソロスのような篤志家に誰もがなれるわけではありません。お城のような豪邸やプライベートジェット、大型クルーザーなど“顕示的消費”の定番ではもう誰も驚かなくなりました。今回の事件は、そんな悩める超富裕層に新たな富の使い道を示したのです。

 しかし、クローンが流行するかどうかには疑問も残ります。ハーレムや大奥を見ればわかるように、(男性)権力者の欲望はたくさんの若い女性とセックスすることで、子どもはその結果として生まれてくるだけだからです。ところが件の男性はバックパッカーのような暮らしをし、贅沢にはいっさい興味を持たず、目的はセックスではなく代理出産だったのです。

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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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