むろん、海外企業に日本で問題視されるような「ブラック組織化」の要因がまるでないかと言えば、そんなことはないだろう。しかし、お互いの多様性を認め合うコミュニケーションの訓練ができていない日本には、比較的ブラック組織が発生し易い土壌があるということは、言えるのではないか。

 現在、筆者はあるコンサルティングファームとともに、このような視点から、それらのハンデを克服するための、新たなグローバル人材開発のプログラムを作成している。詳しい情報は、いずれまた公開できるはずだ。

 先に挙げた「問いかけの授業」で、先日娘が新しい宿題を持ってきた。身近にあるもので、自分オリジナルの人形をつくり、名前を付けて、それを自分の「分身」として、皆の前で自己紹介させるという宿題だ。さらに自分と人形の「違う部分」があったら、それも皆の前で紹介させる。

 小学1年生には、かなり荷の重い課題だが、重要なのは人形と自分との「共通部分」と「異質部分」を整理し、それを筋立てて他者に伝える訓練をさせるという、この課題の「意図」である。

 この課題を行うためには、自分とは何者か、を考える必要がある。それが自分の視点や価値観を決め、他者との違いや距離を測る基準になるからだ。小学1年生がここで問う「自分」とは、自分の好み、性格、価値基準などだ。

自己の資質をアピールするアメリカ人と
自分の所属集団に依存する日本人の違い

 面白い報告を紹介しよう。文化心理学と呼ばれる心理学の一分野の古典的な実験に、「20ステートメントテスト」というものがある。これは「私は」で始まる文章を20個思いつくままに書いてもらうという、簡単なテストだ。

 これを日本とアメリカの成人で行うと、最初に書かれる典型的なものは、アメリカ人ならたとえば「私は社交的だ」「私は知的だ」といった自己の資質なのに対し、日本人なら、「私は○○大学の学生だ」「私は部長だ」という、自分の所属集団のものが多い。