LIXILグループのK-engineは、9月9日より、手作業による見積もりの作成など、アナログの手法が主流だった木造の住宅建築の世界にデジタルの方法論を持ち込み、中小・中堅規模の建築会社が抱える問題解決や効率性改善に役立つツールの提供に乗り出す。

目指すは“グーグル的インフラ” <br />LIXIL子会社が描く大構想試行錯誤の末、新しいプラットフォームを立ち上げた喜久川政樹社長 (右)と彼のチームは、建築業界にITで変革を起こすことを目指す
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「K-engineサービス」は、自前で巨額のIT投資をする余裕がない中小・中堅規模の建築会社を対象としたITプラットフォームサービスで、事務所にインターネットが使えるパソコンがあれば、4つのメリットを享受できる。

 ネット上にあるクラウド(データベース)と情報をやり取りすることを通じ、(1)2次元で描かれた家一棟分の平面の図面を3次元の立体データに転換できる、(2)LIXILの製品に限定せずに集められた約300万件の価格情報が使える、(3)わずか5分の操作で自動的に工事原価の積算、施主(発注主)に渡す見積もり、工程表が出せる、(4)すべてのデータはデジタルに置き換えられるため、必要に応じて整理・加工ができ、利益の管理を徹底できるようになる。

 町の工務店で従来よくあるケースを見ると、家を一棟建てるための見積もりをする際にトイレや窓などは分野別に10~20の下請け業者に対してファックスで見積もりを依頼する。それらが全部戻ってくるのに1週間ほどかかるため、施主に「これぐらいの費用がかかります」と連絡するまでに1週間以上の時間がかかっていた。

 一部の工務店では、この時間を短縮するために、勘と経験でざっくり計算した「坪単価」(一坪当たりいくら)という粗い見積もりを施主に出すこともあるが、多少の見込み違いは自分で被ってきた。