高橋は立ち上がり、石田からマジックを受け取りホワイトボードの前に立った。

「まずはPLの売上高に10万円が入り、費用に8万円が入りますよね。そうすると、当期純利益は2万円か」

 高橋は独り言を言いながら数字を書き込んでいった。

「で、次にこの当期純利益の2万円が、自分で稼ぎ出したお金としてBSの右側の利益剰余金に2万円として積み上がる。これでBSの右側は2万円増えて、合計が12万円になる」

「そうだ。なかなかわかってるじゃないか。じゃあ、BSの左側はどうなる?」

「現金の動きとしては、売上高として10万円が入ってきて、仕入代金として8万円が出て行っているわけだから、差し引き2万円増えて、元々あった資本金の10万円と合わせて12万円になりますね」

 そう独り言を言いながら、高橋はBSの左側の「現金」10を消して12と書いた。

「その通りだ。本当にわかってきたな。後はCSだけだ」

 石田が高橋を元気づけるように言った。

「CSの現金の動きとしては、売上高として10が入り、仕入としては現金が8会社から出ていくことだから−8が入る。財務キャッシュフローに入っている資本金の10と合わせて、『現金の残高』は12になる。これでBSの一番上の『現金』の12と一致する」

 高橋は、数字を記入し、BSとCSの数字のつながりを確認した。

「やるじゃないか高橋君。完璧だ」

 石田はうれしそうに言った。