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政局LIVEアナリティクス 上久保誠人

鳩山民主党は批判票の受け皿から脱し、
自らの政治文化を根付かせられるか

上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]
【第25回】 2009年6月9日
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 鳩山由紀夫氏が民主党代表に就任し、民主党への支持率が上昇するなど無難な立ち上がりを見せている。そこで今回は、少々古い話だが、1998年1月に英国トニー・ブレア首相(当時)が来日し、菅直人民主党代表(当時)と会談した際に残したメッセージを元に、これまでの民主党の歩みを振り返り、鳩山新代表に望まれることを考えてみたい。

 菅氏は97年に英国労働党を政権に復帰させたブレア氏に政権奪取の秘訣は何かと尋ねた。ブレア氏の答えは、「その前に、我が労働党は政権を取るまでに18年もかかったことを申し上げたい。結党からわずか1年3ヵ月(当時)の民主党にとっては、政権奪取は一朝一夕にいかないでしょう。政策の出発点に文化のよりどころがなければ、一時的に新しいもの好きの支持を得ても、根を下ろす力にはなりません」だった。

 拙速に「風頼み」の政権交代を目指すなと釘を刺したのだが、後にこのメッセージ通りに民主党の問題点が明らかになることになった。

郵政解散総選挙での
民主党惨敗の本当の理由

 2005年9月、郵政民営化法案が参院で否決されたことを受けて、小泉純一郎首相(当時)は衆院を解散し総選挙を行った。民主党は、与党327議席(自民党296+公明党31=44議席増)に対して113議席にとどまり(=62議席減)惨敗した。 一般的に民主党は小泉首相の「魔術」と呼ばれたパフォーマンスに敗れたとされる。

 私は、この敗因分析は正しくないと考えている。自民党の地滑り的大勝利は、それまで「本来自民党に投票したいのだが、自民党がだらしないから民主党に投票していた」有権者が、小泉首相の鮮やかなパフォーマンスで一斉に自民党に戻ったからだ。

 日本人の多くはなんだかんだ言っても、「やっぱり巨人が好き」というのと似た感覚で、自民党に愛着を持っていた。それまで民主党に流れていたのは自民党への「批判票」に過ぎなかったのだ。この選挙が示したものは、ブレア流に言えば自民党が「文化」として日本社会に根付いていたが、民主党はそうではなかったということだ。

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上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]

1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。博士論文タイトルはBureaucratic Behaviour and Policy Change: Reforming the Role of Japan’s Ministry of Finance。

 


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「大物政治家に話を聞いた」「消息通に話を聞いた」といった大手マスコミ政治部の取材手法とは異なり、一般に公開された情報のみを用いて、気鋭の研究者が国内・国際政局を分析する。

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