顧客との「つながり」の継承方法

 次に、次代のスタッフへの担当代理店の引き継ぎについて考えてみましょう。質問者は、「職場も顧客も、人と人との絆に基づくものなので、そう簡単に変えれない」と言っています。一般論としては正しいとは思いますが、現在の競争環境と照らし合わせてみると、はたしてそうなのでしょうか?

 代理店側の営業にしてみれば、本社の担当営業が変更すれば、これまで築いてきた信頼関係が失われ、一からやり直すのは困ることでしょう。そもそも、代理店の営業にとって望ましい本社の営業はどんな人なのでしょうか。本社の営業施策を伝えてくれる人でしょうか。それは単に情報を流してくれる人ということですね。あるいは、まんべんなく代理店を訪問してくれる人でしょうか。これを重要な営業活動と捉えるような本社営業は、付加価値をまったく提供していないといえます。

 答えは明らかで、代理店の業績を高めるために一生懸命考え指導してくれる営業がよいのに決まっています。それが結果的に、代理店営業担当者の売上向上につながり、引いては代理店の業績向上につながるからです。その際、代理店の顧客(生命保険の契約者)の属性やニーズ別に、どのような商品をどのように薦めるべきかを伝えることができたら、それは大きな付加価値になります。

 なぜ、大手生保の営業が、自分の顧客である代理店の先にいる契約客についてまで考える必要があるのか。それは、すべての事業活動は最終ユーザーである顧客(この場合は契約客)のニーズやウォンツから設計されるべきものだからです。

 本来は代理店が自分たちの顧客をしっかりと理解していなければならないのですが、多くの代理店は、既存顧客との契約状況は知っていても、新規や潜在的な顧客がどのようなニーズやウォンツを持っているかを理解していません。ですから、代理店も単に商品を売り込むだけになってしまい、より大きな成果を生み出しにくくしているのです。

 生保会社は顧客を理解しなければ商品設計ができません。とはいえ、特定代理店が対象とする顧客がどのような人たちであるかは見えていないのです。自社営業スタッフのみが、開発した商品の特性と、代理店のお客様の属性やニーズをつなげることができるのです。

 代理店営業に顧客の属性やニーズを聞いた上で、どのような商品をどのように薦めると売上増大の成功確率が高まるのかを伝えることは、代理店の営業にとっては大きな “驚き”になります。 “顧客は営業に付く”のではなく、“顧客のことを考えてくれる良い営業に付く”のです。ですから、代理店やその先にいる顧客のことを考えることができる営業を本社で育てることによって、今まで以上に太い絆を代理店と築いてくれることになり、それほど継承のことを心配する必要はないのです。