テレビ東京の情報番組に『カンブリア宮殿』がある。村上龍氏は好きな作家なので、毎週欠かさず視聴している。

 ところが、この番組を見終わった後で、ときどき妙な因果関係を感じることがある。番組に出演した企業はその後、「芳しからざるもの」になってしまうような気がするからだ。

 最近の例でいえば、ソフトバンクであろうか。2014年7月に孫正義社長が出演した翌月、米携帯電話会社TモバイルUSの買収が頓挫している。アリババ集団の上場によって巻き返したのは、さすがであるが。

 古くは、女性下着の通販で一世を風靡したピーチジョンが思い出される。番組初の女性経営者の登場ということで、彼女の雄弁を筆者はいまも記憶している。

 彼女の、「迷っている人の話を聞く暇はないです」という啖呵は見事だった。いまは、どうなっているのだろう。ピーチジョンのブランドをかぶせた「ドリームブラ」のテレビCMは、ときどき見かけるのだが。

 同じ年、ワタミの会長もこの番組に出演した。その時期あたりから、ブラック企業のイメージがついて回るようになった。

 『カンブリア宮殿』に出演したことによって知名度を高め、さらなる飛躍を遂げた企業のほうが圧倒的に多い。そうした光り輝くケースが多いほど、影もまた濃く浮かび上がる。

限界利益分析やファンダメンタル分析の
危うさを憂える

 今年、『カンブリア宮殿』に出演した企業の中では、パーク24が気になった。

 まず、2014年8月の放送で紹介されたパーク24のビジネスモデルには、舌を巻いた。交差点をすぐ通過したところにある駐車場よりも、その少し先へ行った駐車場の料金のほうを高く設定する、という価格差別戦略は、ドライバーの心理を巧みに突いたものであり、普通では思いつかない。

 筆者も時間貸し駐車場はよく利用するので、このときの放送を視聴して以来、駐車場の入り口に掲げられている料金表を注意して見るようにしている。あっちとこっちの駐車料金が異なっているのを発見すると、なぜか楽しい。

 ところが、である。