クライアントとして納得しやすいのは
成功報酬型を取り入れた契約

村野 リソースを意識して、無理な改革はしないようにしています。あくまで、背伸びをすれば達成できるくらいの目標設定ですね。

 コンサルティングに関しても、一部は成功報酬型の契約にしてもらっています。詳しいお話は出来ませんが、その企画が実り無事に売り上げが立ったら、決められたパーセンテージに基づいてお支払いする。お互いに信頼関係があって、夢を共有できる相手でないと難しいですが、うまく売れれば相当な金額が入る契約内容になっています。もちろん、最低限の経費は支払って、その先の部分は成功報酬というハイブリッドな方法もあるでしょう。

改革の立案だけでなく実践と効果にコミットし<br />フィーも成果に連動させたコンサルが理想だ「提案する内容に自信があるなら、コンサル業界も成功報酬型の契約を受け入れていくべき」(並木さん)

 いずれにしても、何を頼んでも最初に見積もりが出てきて、何を頼んでも最低何千万円だと言われてしまうようだと何事も頼みにくい。コンサルティング・ファームは今後、いかにフィーの納得性を出していくかが問われることになるのではないでしょうか。

並木 村野さんは、コンサルティング・ファームとともに歩もうとする意志のある、日本ではまだまだ数少ない経営者の一人だと思います。そんな村野さんから課題を突き付けられた今回の対談では、コンサル側が進化することの必要性を改めて痛感させられました。

 提案する戦略に対して本当に自信があるのなら、成功報酬型の契約を受け入れる方向に改善していかなければならないし、契約期間についても単純にプロジェクト単位ではなく、結果が出るところまでコミットし続ける形を模索しなければなりません。村野さんのご指摘の中にあった、戦略提案で終わるコンサル側と成果が出てこそ完結すると考えるクライアント側のギャップはあまりにも大きい。年間契約やリテイナー型(固定報酬型)の契約形態を検討することは急務だと言えます。

 また、企業を支えるのではなく「経営者を支える」という心構えの大切さについても考えさせられました。ソニーからリコーイメージング、そしてこれからも挑戦を続けていく村野さんのキャリアそのものを支えることによって、確固たる信頼関係を築くことができれば、コンサルの新しい未来が見えてくるのではないでしょうか。

 村野さん、貴重な提言を頂き、本当にありがとうございました。