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金融市場異論百出

中央政府の“裏切り”と通貨問題
スコットランド独立運動の教訓

加藤 出 [東短リサーチ代表取締役社長]
2014年10月1日
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 テニス全英オープン、ウィンブルドンの優勝者であるアンディ・マレーはスコットランド出身だ。

 9月18日、英国からの独立の賛否を問うスコットランドの住民投票が行われたが、この日に彼が独立支持の思いをツイッターでつぶやくと、「全英代表チームに二度と入るな」といった批判が殺到した。

 しかし、独立否決後の世論調査によると、7割の人は以前と変わらず、マレーをウィンブルドンで応援すると“大人”の回答をした。

 これを見ると、独立騒動の“しこり”は深刻ではないかのように見える。ただし、UK(英連合王国)政府が強硬な態度をとったら、問題が再び紛糾する恐れがある。

 「THE VOW」(誓約)。住民投票の2日前、スコットランドの有力紙1面に、キャメロン英首相(保守党)、ミリバンド労働党党首、クレッグ副首相(自由民主党)が連名でサインした約束が大きく掲載された。もし独立を否決するなら、スコットランド自治政府に財政上の自由をより与え、英政府から同地域への支出を増加させ、国民保健サービス(NHS)も充実させるといった内容だった。

 独立が否決されたのは、このロンドン側の懐柔策の影響が大きい。しかし、「THE VOW」にキャメロン首相が同意したときは、独立が現実化しそうだったため英政権はパニック状態にあった。否決が決まると、与党保守党内から妥協姿勢に強い反発が出始めたのだ。

 党内調整の必要もあり、キャメロン首相は、スコットランドの権限を拡大するなら、イングランドなど他地域にも付与する必要があると言い始めた。また、スコットランド内の決定にイングランド選出の国会議員が関与できないのなら、イングランド関連の法律にスコットランド選出議員が関与できないようにすべきと提案した。

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