ラリー・エリソン氏が実演してみせた<br />「オラクル・クラウド」の底力<br />――「Oracle Open World 2014」現地レポート(2)オラクルのラリー・エリソン会長兼CTOは、約25GBのデータベースを自社サーバからクラウドに移行する想定のデモを行い、データ移行の瞬間、自ら「ワオ!」と声を発して会場を盛り上げた Photo:DOL

企業にとってクラウド移行は
「大仕事」から「ワンボタン」に?

 米国サンフランシスコで開催されている「オラクル・オープン・ワールド2014(以下OOW)」では、非常に数多くのクラウドサービスと、高性能なハードウェア製品の発表が相次いだ。

 100以上のSaaS(Software as a Service=クラウドで提供されるアプリケーションサービス)、複数の「エンジニアド・システム(特定業務用途に最適化したハードウェアとソフトウェアの一体型製品)」の新製品が登場し、マーク・ハードCEO自身も「新製品が多すぎると感じることもある」と思わず漏らしたほどだ。

 ただ、新製品のリリースを含め、今回のイベントの内容は、全体としてオラクルが「クラウドに本気」ということを示したものであり、ハードウェア製品ですら、クラウドビジネスを支えるエンジンとしての位置づけと言えるほどだ。オラクルにとって2014年のOOWは「クラウド本格参入」を実際の製品で示した大きな節目のイベントとなった。

 オラクルのこの動きの背景にはもちろん、ビジネスITの環境がクラウド中心へ大きく変わってきている状況がある。グーグルやフェイスブック、LINEなど、消費者向けのネットサービス(BtoC)はすべてクラウドベースである。そしていよいよ、BtoBもクラウドが基盤となりつつある。

 規模の大小を問わず、企業のIT担当者やCIO(最高技術責任者)の立場にいる人にとって、クラウドへの移行は最大のテーマとなっている。しかし既存の自社システムやそれに伴う業務データをクラウドに移行することは簡単ではない。

 下手をすると、自社サーバの保守とクラウド課金の「二重投資」が長く続いて、業務効率化もパフォーマンスアップもできないことになる。企業内で責任問題にもなりかねない。それを恐れて二の足を踏んでいる企業も多いだろう。

 それに対して、今回オラクルが用意した解の1つは、既存データベース、アプリケーションのクラウド移行を「ワンボタン」で行うことができる仕組みだ。データベースソフトのバージョンがオラクルの「12c」という最新バージョンにアップされていることが前提だが、12c対応のデータベースであれば、スムーズにデータベースとアプリケーションを移行することができる。

 OOWでは、このデータ移行のデモを見ることができた。