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原油価格高騰-深刻なインフレ懸念が強まった

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第4回】 2007年11月5日
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 予想通り原油価格の高騰が続いている。10月31日のニューヨーク原油先物価格は、一時1バーレル=96ドル24セントまで上昇し、史上最高値を更新した。

 この背景には、新興国の高成長に伴う需要の拡大や、ヘッジファンドなどの投資資金の流入がある。原油は重要なエネルギー資源であると同時に、多くの工業製品の主要な原材料でもある。今後も、価格上昇が続くようだと、世界的なインフレの台頭につながることも懸念される。

 そうしたシナリオが現実味を帯びてくると、金融市場の参加者の関心は、次第にインフレ懸念に移ることになるだろう。長い間、デフレに苦しめられて来た我々も、頭の座標軸を少し柔軟にしておく必要がある。

なぜ原油価格は高騰したのか

 多くの専門家が原油価格の上昇を予想していた。現在、その通りに原油価格は上昇している。その背景には、三つの要因が予測通りの動きを示していることがある。

 一つは、原油に対する世界的な需要の拡大だ。世界的な景気拡大に加えて、中国をはじめ新興国の高成長が続いていることもあり、原油に対する需要は飛躍的に拡大している。特に、工業化の初期段階を迎えている中国の需要拡大は、同国のエネルギー効率が悪いことも手伝って、当初の予想を超えるペースだ。

 「今年から来年前半に使う原油の手当ても終わっていない」と指摘されるほど、需要の伸びは大きい。それに対して供給サイドは、今のところ積極的な供給拡大を行わない方針だ。需給状況から考えても、価格は上昇しやすいはずだ。

 二つ目は、中東地区の地政学的リスクだ。混迷を深めるイラク問題に加えて、イランの核開発問題、さらには、トルコのイラク領内クルド人への攻撃など、原油の主要産出地である中東に、地政学的リスクの高まりが続いている。地政学的リスクの高まりも、原油価格の上昇を加速する要因であることは間違いない。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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