「友達申請」と「ブロック」でモノ化する人間関係

ソーシャルネットワーキングサイト(SNS)は、他人とつながり、自分に注目を惹きつけたいという、私たち人間の進化したニーズを満たす。何千年ものあいだ社会をつなぎとめてきた友情という伝統的な絆が、フェイスブックなどを可能にしているテクノロジーそのものによって弱められてきているために、他者とつながりたいというニーズはいよいよ高まっている。

 伝統的な絆に比べると、SNSの絆は脆い。だがSNSには、それを埋めあわせるものがある。ドーパミンの生成を促すスリリングな新しい友情、そしてドキドキ感が薄れたら簡単に捨てられるような友情といった、フィックスを瞬時に手にするルートを提供してくれるのだ。ソーシャルネットワークの「友達削除」や「ブロック」といった機能は、どろどろした感情のしがらみなど伴わずに、即時に人間関係を解消できる便利なツールである。

 テクノロジーと依存症は、複雑に絡みあいながら共生している。そして単純だが、それでも強調する価値のある事実がある。テクノロジーは、努力と報酬との比率において、報酬――それも通常は短期的報酬――の率を高めるという事実だ。

 ひと言で言うと、努力と報酬の比率において報酬の率が高くなることは、個人には害になっても、社会には恩恵となる。とはいえ、恩恵がどこで終わり、害がどこから始まるのかを知るのは、いつも簡単であるとは限らない。いずれにせよ、製造業者や小売業者には、報酬の率を押しあげつづける経済的な動機がある。何と言っても、「経済的(エコノミー)」というのは、少ない努力で多くの報酬を得ることを指すのだから。