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岸博幸のクリエイティブ国富論

ノーベル物理学賞受賞が示す2つの重要な意味
~日本最高学府のガバナンスは大丈夫か~

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第277回】 2014年10月10日
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 日本人3人がノーベル物理学賞を受賞しました。本当に喜ばしいことです。ただ、これまでの訴訟などの経緯を考えるとやむを得ないのですが、マスメディアの注目が中村氏の言動にばかり集まるのはどうなのだろうかと思います。個人的には、今回の受賞は2つの大事なインプリケーションを示しているのではないかと思います。

名大関係者のノーベル賞受賞は6人に
なぜ名大は官民イノベーションプログラム対象外?

 一つは、受賞者のうちの2人、赤崎氏と天野氏は名古屋大学という中京エリアの大学で研究を行ってきたということです。中京エリアは日本の製造業の中核とも言える地域であり、そこに研究の拠点を置く2人が受賞したということは、中京エリアはものづくりという産業レベルの力のみならず自然科学の研究のポテンシャルも高いということを証明していると思います。実際、名古屋大学関係者のノーベル賞受賞者数はこれで6人となり、東大と京大のそれぞれ8人に次ぐ数となっています。

 かつ、青色LEDは基礎研究というよりも実用段階の研究であることを考えると、日本のものづくりの中核エリアは実用段階の研究にも秀でているのだろうと言うことができます。

 そう考えると改めて不思議になるのは、私がこのコーナーで度々問題視している文科省の官民イノベーションプログラム(国費で大学発ベンチャーに投資するファンドを大学ごとに設立)の対象がなぜ東大、京大、阪大、東北大の4大学だけなのかということです。

 大学発ベンチャーというのは、実用化段階の研究の成果をベースにした起業であることを考えると、まさにその実用化段階の研究でノーベル賞受賞者を2人も輩出した、日本のものづくりの中核エリアの拠点大学がその対象に含まれていないというのは、改めてこのプログラムの欠陥を感じざるを得ません。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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