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美人のもと

押しボタン

西村ヤスロウ [広告プランナー]
【第27回】 2009年6月29日
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 バスに乗っていると、子供は停車用のボタンを押したがる。降りる予定のバス停が近づくと落着きがなくなり、降りる一つ前のバス停ではすでにボタンに手をかけている。動き出したらすぐ押すのだ。運悪く他人が先に押してしまったら泣きそうになる。悲しい顔をしながら、もうピンポンと反応してくれないボタンを何度も押す。

 なぜ、そこまで押したいのか。エレベータのボタンも大好きだ。「何階?」と聞いてすぐに押す。ボタンはそんなに魅力的なのか。

 そんな子供も大人になるにつれ、ボタンを押すことはむしろ面倒になり、他人に押してもらったほうがうれしいと思う人が増えてくる。いつ頃から「ボタン離れ」が始まるのだろか。

 ところが美人は意外と「ボタン離れ」していない。隠している人も多いがボタン好きである。バスに乗っても停車ボタンを押したいと思っている。エレベータでも自分が降りる階のボタンを押したいと思っている。

 自動販売機で飲み物などを買う時にそれが際立つ。美人は愛情をこめてボタンを押すのだ。まず、どれを買おうか選ぶ時に嬉しそうな顔になる。ただニコニコしているだけでなく、慎重に選ぶので真剣な顔にもなる。その繰り返しが実にかわいい。

 そしてボタンを押し、選んだものを手に入れる。この押し方が実にいい。ゆっくり、しっかり。しかもボタンを見つめて。押さないほうの手(たいてい左手)はグーだ。自動販売機も美人に押してもらって、元気よくゴロンと音を出すように見える。

 一方、面倒くさそうに押す人がいる。たかがボタンを押すだけがそんなに面倒なのかと聞きたくなるような。慎重に押さないから、時々思ったのと違うのが出てくる。それに腹を立て、自動販売機を睨む。その顔はやはり美人とは言い難い。あなたが悪いのです。しっかり、ゆっくり押さないから。

 指先には「美人のもと」が増える「美人のツボ」があるのかもしれない。だから、しっかり押すと美人になっていくのではないだろうか。

 考えてみると世の中ボタンだらけだ。スイッチ、リモコン、電話、キーボード……。それらを愛情こめて押そう。「美人のツボ」を意識しよう。

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西村ヤスロウ [広告プランナー]

1962年生まれ。プランナー。趣味は人間観察。著書に『Are You Yellow Monkey?』『しぐさの解読 彼女はなぜフグになるのか』などがある。


美人のもと

『経』に好評連載中の西村ヤスロウ氏によるエッセイ。「美人のもと」とは、女性なら誰しも持っているもの、「美人のもと」を磨き続けるためのコツを解き明かす。

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