中国 2014年12月3日

これから10年、中国もアジアも激動する。
そのなかで起業家はなにをなすべきか?【第4回】中国の賃貸契約リスク、そして日本人の長所

お金儲けの神様「邱永漢」人生最後の弟子で、2005年より中国四川省成都に在住。日本生まれの韓国人で、現在はグループ会社3社の社長兼取締役を勤める金さんが、中国バブルの行く末を考えます。

前回は、たとえ中国の不動産バブルが崩壊したとしても、長期的には中間層の勃興によって中国の経済成長は続くだろういう予測を述べました。

 そんな中国で商売をするうえで私が一番のリスクだと思っていることがあります。もしかしたら、アジアビジネスのリスクの共通項なのかもしれません。

 「土地」すなわち賃貸契約にまつわるリスクです。

 私はこの10年間で10店舗ほど新規開店し、そして半分以上を閉めました。事業不振もあるのですが、閉めた店舗のほとんどは大家との喧嘩です。

 とある店舗は、借りていた店の横(同一大家ですが)に風俗店を誘致され、とある店舗は、賃貸契約を更新する際、こちらの商売がぼちぼちうまくいっているのをいいことに、家賃を3倍に上げると言い出して最後は喧嘩分かれです。

 結局、長期にわたって残った店舗は、自社グループが保有する自社ビル内にある店舗だけでした。

 私の小さな事例を2、3出してきて普遍化するわけにはいきません。ただこうした例は、我々のグループ内でも枚挙のいとまがありませんし、他の皆さんも苦労をされていると思います。

 中国では大家が最大の商売リスクです。

アジアビジネスの鉄則

 私が痛い思いをして得た経験から、このリスクを回避するにはどうすればいいのかを考えますと、

1)安全な大家を見つける
2)投資回収を早くする

の2つにつきます。

1)安全な大家を見つける

 正直に告白します。ほとんど無理です。

 ただし、私の経験上かなり安全で誠意があるのは、やはり日本系のディベロッパーもしくは百貨店です。台湾系もいいですね(韓国系は経験がないので判断できません)。ただこれも、私がお付き合いした日系の方々がたまたま良い人だったのかもしれませんし、一概には言えません。

 そうなるとどのように自分の身を守るのか?

2)投資回収を早くして、何が起きてもいい心構えで事業をやる

 今、私が考える最適解はこれです。

 投資回収を早くするとはどういう意味か? そもそも投資回収とは、

 「投資回収期間(カ月)=総投資額÷毎月その事業が生み出すキャッシュ(利益)」

のことです。

 この公式から見るに、けっきょく2つしかやり方がないわけです。「分子を小さくする」か、「分母を大きくする」のですが、よっぽど完成された事業モデルでないかぎり、「分母を大きくする=事業の生み出す利益の最大化」を安定してやりきることは困難です。

 すると自然と、「分子を小さくする=総投資額を小さくする」ほうが現実的になります。


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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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