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齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

ノーベル賞受賞者は“孤高の研究者”ではない
日本が学ぶべき「チームを生かす達人」だ!

齋藤ウィリアム浩幸 [内閣府本府参与]
【第4回】 2014年10月20日
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多様性がなければ
イノベーションは起きにくくなる

 なかには、日本の特許出願数は世界トップクラスではないか、と反論する人もいるかもしれません。しかし、重要なのは数ではなく、そのクオリティです。

 実際、ある研究者が各国の1特許あたりの価値を数値化したところ、価値が高かったのはスイスやシンガポールで、十数ヵ国中、日本は最下位でした。

 もちろん、頭の良さでは日本もひけをとらないと思いますが、違いは出願者にありました。スイスやシンガポールを見てみると、複数の国の研究者が一緒に出願しています。一方、日本は多くの場合、日本人のみ、しかも同じ大学の研究所のメンバーといった具合です。

 つまり、特許の価値というのは意外と多様性と連動しているということです。多様性がないから視野が狭くなり、イノベーションも起きにくくなります。

 こうした傾向が続けば、将来、日本からノーベル賞受賞者は出なくなるかもしれません。前述したように、偉大な成果を残すためには、開発者としての才能だけでなく、多様な人材の能力をうまく組み合わせるチームづくりや、チームを上手に運営するリーダーとしてのスキルを駆使した研究が不可欠。今の若者たちにそれができるでしょうか。

 ただ、幸いなことに日本では、ここ数年の間にノーベル賞受賞者が何人も登場しています。今のうちに、彼らがなぜ誕生したのか、その核心に触れる研究を始めるべきです。日本の教育改革やイノベーションを促すためのヒントがたくさん得られると思います。

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齋藤ウィリアム浩幸
[内閣府本府参与]

さいとう・ウィリアム・ひろゆき
1971年ロサンゼルス生まれの日系二世。16歳でカリフォルニア大学リバーサイド校に合格。同大学ロサンゼルス校(UCLA)卒業。高校時代に起業し、指紋認証など生体認証暗号システムの開発で成功。2004年に会社をマイクロソフトに売却してからは日本に拠点を移し、ベンチャー支援のインテカーを設立。有望なスタートアップ企業を育成している。12年には、総理大臣直属の国家戦略会議で委員を拝命し、国会事故調査委員会では最高技術責任者を務めた。また13年12月より内閣府本府参与に任命されている。世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2011」選出。2015年6月より、パロアルトネットワークス合同会社副会長に就任。著書に『ザ・チーム』(日経BP社)、『その考え方は、「世界標準」ですか?』(大和書房)。


齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

歴史的に、世界に挑むチャレンジ精神は本来、日本人が持っていた気質。しかし今の時代、日本のお家芸“ものづくり”だけでは新興国に負けるのは火を見るよりも明らかだ。成長へと反転攻勢に転じるために必要なものは何か――。それは革新的なイノベーションを起こすための「世界標準の思考」に他ならない。気鋭の起業家であり、技術者である筆者が、日本が再び世界をリードしていく道はなにかを説く。

「齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機」

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