伝統には常に革新がなければ……

――日本酒づくりという伝統を重んじる世界で、常に新しい挑戦を続けていらっしゃるのですね。

うちが行くところはNOBUしかないので、NOBUのブランドを傷つけるわけにはいかない。常にベストを目指していかないと。ノブさんもいつもおっしゃっていますが、コストはかかっても、とにかくいいものをつくることで儲けは後からついてくる。この価値観が一致しているのだと思います。

僕は伝統とは常に革新していかないと残っていけないと思っています。昔からずーっと同じことをやっているから「伝統」ではないんです。老舗と言われているところは、和菓子にしてもなんにしても必ず少しずつ時代に合わせて変えていると聞いたことがあります。我々も大吟醸のつくり方を「もっとコメを削ったらどうだろう」「もっと違う酵母はないのか」「新しい機械はないか」と挑戦し続けています。

先に触れた遠心分離機は、秋田県の醸造試験場の場長を務めていた先生が開発され、去年3月に定年退職されると言うので、「先生、機械を買いますからうちに来て指導してください」とお願いしたら、来てくださることになり、去年1台買って、今年もう1台入れる予定です。フェラーリ1台分の値段なので、日本の酒造メーカーには12~13台入っているだけです。ちなみに商用で導入した第1号は「獺祭」の旭酒造さんです。