――真山さんが新聞記者として勤めた期間は?

真山 2年半ですね。

――その2年半が、作家としての根本になっているところがありますか。

真山 それはあるとは思いますけど、もともとあまのじゃくで、小学生のころから、なんかちょっと人と見る目が違ってたと思いますね。

 記者生活は2年半と短かったですけど、記者ってこういうものだよな、という手応えはありました。本当はもう少し勤めたかったですが、入社2ヵ月の新人をひとり通信部に出して、警察もカバーしろなんて人事配置はちょっとひどすぎた。嫌な仕事ばかり回されて、見出しありきの原稿を書かねばならなかったのも苦しかった。修業だから我慢しろ、と言われましたが、自分で自分を説得するのがしんどくなっていきました。

 共同通信にいた斎藤茂男さんのようなルポが書きたかったんですよ。『雨に泣いてる』は、ある意味でそのオマージュですね。小説でどこまでノンフィクションのようなルポを書けるかという挑戦です。(10/23公開の次回へ続く)