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『【新装版】個を活かす企業』

「目的・経営プロセス・人」の哲学に立ったビジネスモデル

【第3回】 2007年10月15日
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個を活かす企業
クリストファー・A・バートレット+スマントラ・ゴシャール 著 グロービス経営大学院 訳ダイヤモンド社刊 2400円(税別)

 旧版の『個を活かす企業』が刊行された1999年当時、日本経済はバブル崩壊の痛手からなかなか立ち直れずにいました。ほとんどの企業は、事業の再編や人員削減など、合理化を迫られ、経営には変化とスピードが求められていました。そして、巷には変革を謳う経営書がたくさん出版されていました。

 本書もそうした1冊ではありますが、原書の発行から10年もたって、今回【新装版】が刊行されたのには、本書が他の本にはない魅力を持っていたからにほかなりません。

 まず冒頭に印象的な話が出てきます。ウェスチングハウスの送変電・配電事業部(成熟産業の成熟事業!)が再建に成功した話です。

 ほとんど成長が見られなかったこの事業部の売上高成長率は、ABBに買収されるや、4年間で45パーセントを超え、収益性でも120パーセント改善しました。これだけ聞けば、どこにでもありそうな再建物語ですが、実はこの変革は「売上げも利益も成長していないときと同じマネジメント・チームにより成し遂げられた」という点が他と違っていました。

 これを成し遂げた原動力は何か。当たり前のことですが、社員一人ひとりの意識と行動が変わらない限り、企業は変われません。その根本を見つめ、活力あふれるイノベーティブなマネジメント・システム――人的資源と知的資産を最大限に活かす――の構築を説いたのが本書なのです。このメッセージは非常に先見的で、10年の時を経ても、なお新しいものです。

 ところで、旧版が出版されて1ヵ月ほどしたとき、編集担当の私に電話がかかってきました。日本のある大企業の方からで「我々の変革と同じ考えがこの本で再現されている! 本を読んでここまで共感したのは初めて」と熱く語られました。その企業は当時、若手マネジャーによる変革が話題になっていました。翻訳書でこうしたストレートな反応があるのは珍しく、本書の魅力を改めて気づかされた次第です。

 なお、本書の著者の1人であるゴシャールは4年前に55歳の若さで急逝しました。新装版発刊に当たって、共著者のバートレットと、友人のディパック・ジェイン(ノース・ウェスタン大学ケロッグスクール・オブ・マネジメント学長)に追悼の言葉をお願いしました。この2人の言葉からゴシャールの人間性、業績について理解を深めていただければ幸いです。
(編集担当:小暮晶子)

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