株式レポート
10月22日 17時0分
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米国株は底を打ったのか? - マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部「米経済の「今」を読む -経済指標動向-」

住宅着工件数(年率換算) 9月 101.7万件 市場予想 100.8万件 前月 95.7万件(上方修正)
中古住宅販売件数(年率換算) 9月 517万件 市場予想 510万件 前月 505万件
ミシガン大学消費者信頼感指数 10月 86.4 市場予想 84.0 前月 84.6

■マーケットで不安視されている“4つのE”
1ヶ月前には1万7000ドルを超えて史上最高値を更新していたダウ平均が、10月16日の取引時間中には一時1万6000ドルを割り込むなど、短期間で急激な調整に見舞われた。短期間での急激な調整理由として、マーケットでは急落要因の頭文字をとった以下“4つのE”が指摘されている。

・Euro  欧州の成長鈍化懸念
・Ebola  エボラ出血熱の感染拡大懸念
・Energy エネルギー価格の急落
・End   米国の量的金融緩和の終了

簡単に直近の値動きをグラフに示すと、10月月初からエボラ出血熱感染者が米国で確認され、ダウ平均は下落を開始した。マーケットのセンチメントが悪化する中で、16日には8月のドイツの鉱工業生産が前月比-4.0%と急落したことで欧州の景気停滞が意識されるとともに、IMFが世界経済の経済成長予測を引き下げ、特に欧州と日本のマイナス幅が大きかったことから大きく売られた。


ダウ平均は過去数回の調整時には200日移動平均線にサポートされる格好で反転していたため、今回も同水準での反発が期待されていた(筆者もそのように考えていた)。ただ、結局200日移動平均線はサポートラインとならなかった。米エボラ出血熱の米国内での2次感染が判明、さらに米国の小売売上高も市場予想を下回って前月から減少し、強いはずの米国経済にも不安要素が出たことで、半ばパニック売りの様相で売りが売りを呼ぶ展開となった。

足元ではECBによる追加金融緩和期待が高まったことから欧州株価が下げ止まりの兆候を見せたこと、また、後述する住宅関連指標などが好調だったことから米国株は反発している。では、米国株は底を打ったと判断できる蓋然性が高いのだろうか?直近発表された経済指標から米国経済のファンダメンタルズを推察するとともに、S&P500の騰落レシオから短期的な動向を考察してみたい。

■S&P500の騰落レシオ
普段当レポートでは経済指標から米国経済のファンダメンタルズをお伝えすることを主眼としているが、今回の急落はあまりに急激であり、短期的な動向を確認するためマネックス証券が算出を行ったS&P500の25日騰落レシオ(25日間の値上がり銘柄数÷25日間の値下がり銘柄数×100)を確認してみる。


グラフに示したのは今年に入ってからのS&P500と25日騰落レシオの推移である。米国株式市場は今年に入って大きめの調整を4回行っている。(1)年初の新興国初の経済不安、(2)4月にはバイオ株やインターネット関連株などいわゆる“モメンタム株”の下落、(3)夏場は民間航空機撃墜によるウクライナ不安の再燃、そして(4)今回の調整である。

過去3回の調整時は騰落レシオ85から90といったところを大底としてS&P500は反発した。今回の調整では騰落レシオは瞬間的に69まで低下しており、米国株がいかに売られすぎだったかを示している。足元の騰落レシオは87程度と、前3回の調整時の大底の際の水準にあり依然として売られすぎとされる水準だ。この観点で見ると、米国株は短期的な大底を打ったと考えて良いだろう。
■好調な住宅関連指標と消費者センチメント
先週末から今週にかけて発表された住宅関連指標は概ね市場予想を上回り、米国住宅市場が堅調に推移している状況が判明した。17日に発表された住宅市場の先行指標である9月の住宅着工件数は101.7万件と市場予想の100.8万件を上回り、前月から件数が増加した。

また、21日に発表された9月の中古住宅販売件数も517万件と市場予想(510万件)を上回り、上昇基調を維持していることを確認できた(グラフ参照)。不動産市場の好調は、個人消費の拡大への寄与も期待でき、非常にポジティブなサインと判断できる。個人消費の先行指標で、消費者センチメントを示すミシガン大学消費者信頼感指数の10月調査も約7年3ヶ月ぶりの高水準を記録した。上述した小売売上高の他にも月初に発表された新車販売台数が前月から大きく落ち込んだため、個人消費の鈍化が懸念されたが、現時点で過度に悲観視する必要はなさそうだ。


■各国に残された政策対応余地
これまで見てきたようにテクニカル指標面での短期的な底打ち感があり、米国経済は依然堅調に推移していると考えられる。また、IMFが日欧の経済成長予測を大きく引き下げたことが今回の調整の一因として挙げられるが、日欧双方にはまだ政策対応の余地が残されている。

まず欧州には追加金融緩和の余地がある。21日にはECB(欧州中央銀行)が社債の購入を検討しているとの報道によって、欧州の株式市場が大きく上昇した。景況感の悪化が著しく、依然デフレリスクに直面している欧州だが、今後ソブリン債の購入も含めた追加金融緩和の余地が残されており、ドラギECB総裁はできるだけ早く実施したいと考えているだろう。ソブリン債の購入はこれまでドイツを中心に反対があって実現できておらず、もちろん今後の実現は不透明だが、欧州経済は徐々に追い込まれてきており、追加金融緩和に踏み切らざるをえなくなるのではないかと考えている。

そして日本には、日銀の追加金融緩和のオプション、そして消費税の引き上げ時期の延期というオプションが残されている。4月以降日本の景況感が停滞している大きな原因に消費増税の影響が大きいことは疑いなく、筆者には昨年10月の増税決定前に増税決定が既定路線であるかのような報道と比べて、直近の増税についての報道内容はニュートラルであると感じられる。経済再生を第1の目的に掲げて支持率を伸ばしてきた安倍政権にとって、これ以上の景気の停滞はなんとしても避けたいはずで、増税延期というオプションは十分考えられる。

さらには、米国にも利上げの延期という手段が残されている。先日、足元の金融市場の混乱を懸念してか、タカ派として知られてきたセントルイス連銀のブラード総裁が「量的金融緩和第3弾(QE3)の終了を延期するべき」という趣旨の発言を行い、株式市場に好感された。ブラード総裁は今年も来年もFOMC(連邦公開市場委員会)の投票権がないため影響力は少なく、さらに同時に「利上げは2015年1―3月期に行うことが望ましい」とも発言したため、やや整合性が取れない面があるが、総裁の発言はFRBには金融政策による景気への対応オプションを有していることを示している。さすがにFRBがQE3の終了を延期する可能性は低いと思われるが、利上げの時期を後ずらしすることで、市場に対しメッセージを送ることができる。

このようにテクニカル・ファンダメンタルズ・各国の政策対応とそれぞれの面から見て、ポジティブな要素が残されている。もちろんエボラ出血熱の感染拡大というのは予想が不可能な事象であり、実際に感染拡大が実現してしまった場合の影響は計り知れないが、それをテールリスクとして脇に置いて考えた場合には、米国株は「下がったら買い」のスタンスが望ましいと筆者は考えている。

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(マネックス証券)


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