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東北電力が美術作品の撤去を迫る
福島の現状がモチーフのオブジェは「不審物」!?

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第90回】 2014年10月25日
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 今月、日本とカナダの芸術家八組が美術展を開催した。会場は宮城県仙台市にある、東北電力の広報・地域交流施設「グリーンプラザ」というところ。中立の立場でエネルギーの未来を考える機会にしたい、と意味づけられた美術展は『POWER TO THE PEOPLE』展と題されていた。思わずジョン・レノンのフレーズが頭の中を駆け巡るタイトルだ。

 今月七日から開催されるはずだった美術展は、開幕が三日遅れた。

 理由はと言うと、南幅達也(みなみはば・たつや)グリーンプラザ所長らが、ある作品の展示に難色を示したからだ。というか、所長らは、芸術品を撤去するよう迫ったのである。

 その作品というのが、黒い新品の土嚢袋と太陽光パネルを並べ、周囲に福島県内から運んだ少量の土と放射能測定器を置いたオブジェだった。意味深と言えば、意味深な作品ではある。土嚢袋には風船を入れて膨らませ、土は福島県内で除染が終わったものだった。

 これを、東北電力グリーンプラザの所長さんは撤去しろと言った。

 「ホール前を通る不特定多数の方が不審物と思ってしまう」

 んなばかな、と思われるが、これが撤去を命じた理由だった。んなばかな。
 本当にばかな理由だ。というか、ばかなのか東北電力は?

 美術展と銘打った催しがあって、たとえ会場内に難解なオブジェが置いてあったところで、それを「不審物」と思うような来客がいるわけないだろう。あと一週間で終わるが、横浜でも三年に一度の国際美術展が行なわれているけど、得体の知れないオブジェなんてあちこちに置かれているぞ。会場の中央には巨大なゴミ箱が置いてあるし。

 と言ったら芸術家に失礼だけど、館内の展示品を不審物と思うようなやつなんているんだろうか。本当は違いますよね、所長。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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