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3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

なにびとも景気をコントロールすることはできない

上田惇生
【第175回】 2009年12月21日
著者・コラム紹介バックナンバー
『ポスト資本主義社会』
ダイヤモンド社刊 2100円(税込)

 「19世紀にはもちろん、1929年に至ってさえ、政府による経済運営を可能とし、それを支持する者はいなかった。政府による景気のコントロールを可能と論ずる者はなおさらいなかった」(『ポスト資本主義社会』)

 国家とその政府の仕事は、通貨を安定させ、税を低く抑え、節約と貯蓄を奨励することによって、経済発展のための「気候」を維持することであるとされていた。

 経済の「天候」、つまり景気変動は、それを引き起こすものが国民国家の内部の出来事だけでなく、世界市場の出来事でもあるという理由から、国内において何者かがコントロールできるものではないとされていた。しかし、あの大恐慌のとき、国民国家の政府は経済の「天候」をコントロールできるし、コントロールすべきである、との考えが急速に広まった。

 ジョン・メイナード・ケインズは、少なくとも中規模以上の国家の場合、政府が、世界経済とは関係なく、国民経済を動かし経済の「天候」を動かせると主張した。政治家と官僚機構がこの説に飛びついた。支出を増やし、刺激をすれば景気はよくなるとした。

 これに対し、ドラッカーは、たとえ中規模以上の国家といえども、政府が経済の天候を短期的にコントロールすることは不可能であると断じた。なにびとも複雑系としての景気をコントロールすることはできないとした。

 「経済学は、政府を国民経済の主(あるじ)として扱い、経済の天候の管理者に仕立て上げた」(『ポスト資本主義社会』)

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上田惇生(うえだ・あつお) 

 

ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連、経済広報センター、ものつくり大学を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー自身からもっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。ドラッカー学会(http://drucker-ws.org)初代代表(2005-2011)、現在学術顧問(2012-)。

 


3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。

「3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言」

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