「香港デモの黒幕は米国」説が
トンデモ話とは言い切れない理由

 最近の例をあげておこう。香港では9月27日から現在まで、「反政府デモ」が続いている。彼らは、「自由な選挙」を求めている。

 香港のトップである「行政長官」。17年の選挙では、市民一人ひとりが投票できる「普通選挙方式」に替わる。しかし、候補者は、「指名委員会」が選ぶので、「反中国派」は立候補できない。「それはおかしい!」ということで、「デモ参加者」は、「誰でも立候補できるようにしてくれ!」と要求している。きわめて真っ当な主張だ。

 しかし、ロシアでは、「香港デモは、米国がライバル中国を打倒するために仕組んだもの」と報道されている。

 ロシア国営テレビ「RTR」で10月5日、20時から放送された人気報道番組「ヴェスティ・ニデーリ」がどう報じたか触れておこう。司会のキシリョフ(=ロシアメディア界でもっとも影響力のある男)は、「米国がデモを組織した動機」について、「中国に覇権を渡したくないから」とする。

 また、米国はこれまでも、「チベット動乱」(08年)、「ウイグル騒乱」(09年)を起こしてきたと断言する。そして、香港の番がやってきた。米国は、中国をつぶすために、お決まりの方法を使うことにした。つまり、「香港には民主主義がない」という点を突くやり方だ。

 キシリョフによると、「革命思想」伝播の中心になっているのが、「香港-アメリカセンター」。そして、革命を指揮しているのは、米諜報員として30年のキャリアをもつモートン・ホールブルグ。そして、現地(香港)の代表は、メディア王ジミー・ライ(ジミー・ライは、香港2位の日刊紙・蘋果日報[ひんかにっぽう、=Apple Daily]の創業者。反北京、親民主派として知られる)。