【2014.10.30 筆者追記】
本文中にある千葉県の児童養護施設の子ども1人にかかる月額経費(県立乳児院:約96万円、県立児童養護施設:約45万円)について、「月額と年額を取り違えているのではないか?」というお問い合わせを何件かいただいていますが、これは千葉県健康福祉部児童家庭課にも確認した「月額」であり、それを元に0歳から18歳までの養育費用(約1億1500万円)も算出しています。


  児童養護施設は税金の無駄遣いであり、無くすべきなのではないか――。日本の社会保障費の削減のためにも、そして、なによりも施設に入居している子どもたちのためにもそう思う。

 日本の社会貢献に関する最大の問題は膨大な社会保障費であり、この抑制が重要な課題であることは当連載でも何度か述べてきた。金額的には医療/介護関連の費用負担が突出して大きいが、もちろん他の分野についても無駄な支出は抑制していくべきだ。そのような視点で見ると、児童養護に関するお金の使い方には大いに疑問がある。

1人を育てるのに1億円以上!?
かかりすぎる児童養護施設の費用

 千葉県は平成19年3月に、要養護児童の経費について公表したが、これによれば、要養護児童1人をを0歳から18歳まで養育するために、県立児童養護施設で養育する場合は約1億1500万円、民間の施設で養育する場合は約7680万円の費用がかかる計算となる。もう少し詳しく伝えると、県立乳児院の乳児1人当たりの経費は月額約96万円。県立児童養護施設の子どもひとりの費用は月額約45万円である。一般人の感覚からすれば、これはいくらなんでも費用がかかりすぎだと感じるだろう。

◎参考1:「親が育てられない子どもを家庭に!里親連絡会」資料より
◎参考2:「シドさんの里親ホームページ」より

 ちなみに、一般家庭の場合、大学を卒業するまで22年間の養育費は約1640万円。教育費については私立、公立どちらに進むか、中高まで公立で大学が私立とか、中高大まですべて私立か、大学は文系か理系か医大かなど、コースによって差が出るが、幼稚園から大学まですべて私立に通ったとして約3700~3800万円。すべて国公立の場合、約3000万円である(養育費と教育費の合計)。

◎参考3:「子ども応援便り ウェブ版」より

 児童養護施設で育てる場合は、一般家庭と違って、施設費用や職員の給与が必要だ。しかし、養護施設の子どもたちの場合、私立校に通うことは考えにくい。また、上記の金額は18歳高校卒業までの費用であり、大学の学費が入っていないことを考えれば、やはり費用がかかりすぎだと思う。

 ちなみにこの数字は、千葉県のデータを元にしているが、県によってそれほど大きな費用差があるとは考えられないので、日本の児童養護制度そのものが金がかかりすぎていると思われる。