2008年のリーマンショック以降、供給戸数が激減している新築物件市場。不動産調査会社東京カンテイの中山登志朗・市場調査部上席主任研究員によると、09年の首都圏の新築マンションの供給戸数は、過去10年間で最も少ない3万5000戸前後に留まる見込みだという。

 一方、新築と比べて安定的に推移しているのが、中古流通市場だ。

 今、この中古物件に注目が集まっているのを、ご存知だろうか? その理由としては、住宅ローンやリフォーム業界の成長といった社会的な背景はもちろんだが、何より購入を考える人たちの「志向の変化」がある。

 今回は、「住宅ローン」「リフォーム」「供給戸数」「立地」「資産価値」の5つのキーワードを軸に、中古物件の魅力を紐解きたいと思う。

【魅力①】中古でも35年ローンが可能に
月々のローン負担を抑えて賢く買う

 まず第一に、中古住宅の最大の魅力は、同じような条件なら「新築住宅に比べて総じて価格帯が安いこと」だ。

 図表Aの通り、新築マンションと中古マンションの平均価格を比べてみると、首都圏では約2000万円、近畿圏、中部圏では約1500万円も安いことがわかる。その上、新築同様、35年ローンの適用が可能になり、中古物件への注目度はますます高まっている。

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・2008年11月~09年10月の供給・流通物件の70㎡換算価格(東京カンテイ調べ)

  「以前なら、公的な中古住宅の住宅ローン返済期間は20年~25年と、新築物件に比べて短いのが一般的でした。したがって借入金額が少なくても、返済期間が短いぶん、月々のローン返済額は新築と大差がない。『月々の返済額がほぼ同じなら新築の方がいい』という理由から、新築物件に人気が集中していました」(中山研究員)

 だが現在は、中古物件であっても一定の要件を満たせば、「フラット35」の適用が可能だ。ただし、フラット35の融資対象となるのは、新耐震基準が施行された1981年6月以降に建築確認が下りた物件に限られている。

 融資を受けるには「適合証明手続き」が必要となるが、築10年内で新築分譲時に住宅金融支援機構の定める耐久性基準等を満たしていることが確認されているマンションであれば、手続きを省略することができるため、利用し易くなっている。