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アマデウスたち

小林武史
ありのままではない「実感」

週刊ダイヤモンド編集部
【第99回】 2009年11月24日
著者・コラム紹介バックナンバー
写真 加藤昌人

 「音楽をプロデュースするということは、チーム一人ひとりの潜在的な方向性を確認し、積み上げて、並べ替えて伝えること」。Mr. Childrenをはじめとして、サザンオールスターズ、井上陽水など日本を代表する数々のアーティストを手がけてきた。裏方の節度を保ちながら、そのサウンドにはどれも、らしい旋律が主張している。それは決してアートに走り過ぎず、ポップの感覚を失わないから、人びとの気持ちを揺さぶり、時代の記憶として刻まれるのだろう。

 太陽のにおいのする人だ。草野球大会でホームランをかっ飛ばし、黄色い歓声をさらった少年時代のヒーローが、いつしか男くさい求心力や包容力を蓄えた。初めに受け入れ、決してこうだと決めつけないから、安息の場所を得た個性は、感情の奥深いところでつながり合い、響き合うのだ。

 フィールドは、環境問題、映画界へと越境している。伝えたいものは何か。

 「世の中は割とウツ的。アッパーな時代は当分やってこないだろう。待ち受ける死を意識しながら、生きることをどのように肯定するのか。格差に象徴される、絶望感に近いありのままのなかで、キラキラ、ドキドキ、ワクワクといった実感をどのように追求できるのか。ここに創作のベクトルを合わせていく。それはゴリゴリと触れるものではなく、そこになにかがあるような、仮にそれが嘘でも信じていくような感覚。愛なんて、まさにそんなものじゃないかな」

(『週刊ダイヤモンド』編集部 遠藤典子)


小林武史(Takeshi Kobayashi)●音楽プロデューサー 1959年生まれ。作詞・作曲・編曲も手がけ、キーボーディストでもある。音楽監督、映画監督として映画界にも進出。03年ap bank設立、環境NPOなどに対する融資のほか、05年からは野外音楽イベント「ap bank fes」を開催している。

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