経営×ソーシャル
ソーシャルメディア進化論2016
【第60回】 2014年11月4日
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武田 隆 [クオン株式会社 代表取締役]

【石倉洋子氏×武田隆氏対談1】
ITは「断絶した世代」をつなげることができるか?

今回の対談相手は、一橋大学名誉教授・石倉洋子氏。個人が自身のキャリアを考える上で大切な3つこととは? 1つ目のキーワードは「ORをANDにする」。断絶からコネクトへ――日々グローバルリーダーや経営者、大学生と触れ合う機会の多い石倉氏が考える「世代間のディバイド(断絶)」を埋める方法とは? 

石倉洋子(いしくら・ようこ)
一橋大学名誉教授。米バージニア大学大学院 経営学修士(MBA)、米ハーバード大学大学院 経営学博士(DBA)を修了。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社でマネジャーを務めた後、青山学院大学国際政治経済学部教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授、慶應義塾大学院メディアデザイン研究科教授のほか、商船三井、富士通などの社外取締役を歴任。現在、世界経済フォーラム(ダボス会議)のGlobal Agenda Council Future of Jobsのメンバー。日清食品ホールディングス、ライフネット生命、双日社外取締役。専門は経営戦略、グローバル競争におけるイノベーション戦略、競争力、グローバル人材。六本木アカデミーヒルズで「石倉洋子のグローバル・ゼミ」、その他「ダボスの経験を東京で」を毎月開講中で、世界的な視点から問題をとらえ、英語でのディスカッションを学ぶプログラムには定評がある。主な著書に、『戦略シフト』(東洋経済新報社)、『日本の産業クラスター戦略』(共著、有斐閣)、『戦略経営論』(訳、東洋経済新報社)、『グローバルキャリア』(東洋経済新報社)、『世界級キャリアのつくり方』共著、東洋経済新報社)等。
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デジタル・ディバイドと
世代間の「断絶」

武田 石倉先生はご著書『グローバルキャリア』で、世界が大きく変化するなか個人がキャリアを考える上で、「ORをANDにする」「オープン化」「ユニークさ」の3つのキーワードを提示していらっしゃいます。今回の対談では、この3つについてそれぞれ掘り下げてお伺いしていきます。

まずは1つ目のキーワード、「ORをANDにする」からお願いします。

石倉 「ORをANDにする」については最近、「ディバイドからコネクトへ」と言い換えているんです。「ORをANDにする」という考え方はわかるが、実際にはどうしたらいいのか、という質問をいただくことが多くて、具体的なアクションとして「コネクト」することを提案しています。

武田 現状はいろいろな断絶(ディバイド)があり、そこをつないで(コネクト)いくことが必要だということでしょうか。

石倉 そうです。ここ数年よく聞くのはデジタル・ディバイドです。それほど注目されていない世代間ディバイドのほうが大きいのではないか、とも私は思っています。
実はこの2つは強く関係しています。IT(情報技術)に関する知識や認識が、古い世代と新しい世代でまったく違っているんですね。デジタルを使えば、個人で何でもできるようになり、国境も簡単に越えられる。この感覚が、古い世代には実感できていないように思えます。

※デジタル・ディバイド:パソコンやインターネットなどのITを使いこなせる者と使いこなせない者の間に生じる、待遇や貧富、機会の格差のこと。

武田 ITによって世代間の溝がさらに拡がってしまっているんですね。

石倉 はい。企業でいま上層部にいる人たちは、高度経済成長時代を経験している人が多い。その人たちはまだ「日本はすごい」と言われていた頃の経験を引きずっています。ソニーのウォークマンが画期的なイノベーションとして世界的に評価されていたのを、リアルタイムで実感していた世代ですね。でも、20〜30代半ばの世代は物心ついてからの「パッとしない日本」しか知らないんです。ソニーよりも、アップル、サムスンのほうがよっぽどイノベーティブな企業に見える、これも大きな違いです。

武田 隆(たけだ・たかし) [クオン株式会社 代表取締役]

日本大学芸術学部にてメディア美学者武邑光裕氏に師事。1996年、学生ベンチャーとして起業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「消費者コミュニティ」の理論と手法を開発。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。花王、カゴメ、ベネッセなど業界トップの会社から評価を得て、累計300社のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア (矢野経済研究所調べ)。2015年、ベルリン支局、大阪支局開設。著書『ソーシャルメディア進化論』は松岡正剛の日本最大級の書評サイト「千夜千冊」にも取り上げられ、第6刷のロングセラーに。JFN(FM)系列ラジオ番組「企業の遺伝子」の司会進行役を務める。1974年生まれ。海浜幕張出身。


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