連日のようにエボラ出血熱の感染経路や症状が、「西アフリカ」や「アフリカ」という単語とともに報道され、さらに実際にアメリカ国内で患者が出たという事実が恐怖感を増幅させ、さまざまな場面で弊害とも言うべき事態が見られるようだ。

 ミロシュニチェンコ医師は「私は普段から、アフリカからの移民の患者と接することがあるが、連日のエボラ出血熱に関する報道によって、エボラ出血熱とは関係のない通常の診察でもアフリカ出身者が症状について多くを語りたがらなくなった」と話す。

日本でエボラ熱が発生した場合
パニックを防ぐことはできるのか

 アメリカにエボラが上陸した状況を見れば、日本も「遠い外国で起こっている話」と高をくくっていられる状況ではない。各国でエボラ熱に感染した疑いのある人物を入国させないための水際対策が講じられているが、実際にどこまで機能するのかは未知数だ。

 日本でも、ベルギーやイギリスを経由して27日午後に羽田空港に到着した45歳のカナダ国籍の男性ジャーナリストに、エボラ出血熱の疑いがあると報道され、国中に緊張が走った。

 男性は発熱の症状があり、西アフリカのリベリアに今月18日まで滞在していた事実も判明。男性は厚生労働省側からのリクエストに同意したのち、羽田空港から国立国際医療研究センターに搬送された。細かい検査の結果、男性からエボラウイルスは検出されなかった。

 実際に日本国内でエボラ熱の発症が報告された場合、日本到着前の旅客機の中ですでにエボラ熱の疑いがある患者がいた場合、今の体制でどこまで迅速な対応ができ、市民の間に広がるパニックをおさえることが可能なのだろうか? 安全保障に詳しい公益財団法人・公共政策調査会の板橋功第1研究室長に話を聞いた。

――今回のエボラ騒動では、受け入れ先の病院を管轄するのが厚生労働省、感染の疑いのある男性が乗っていた旅客機や空港を管轄するのが国土交通省だった。現在の縦割り行政で、エボラ熱が発生した場合、市民への情報の発信も含めて、各省庁がうまく連携を取ることは可能なのだろうか。

 上手くいくかという話は別にして、省庁間の関係性は構築されている。少なくとも、内閣官房や総理官邸に対策室や連絡室は設置されている。そこには厚生労働省からも国交省、警察からも、内閣危機管理監のもとに職員が送られているため、情報共有を含む各省庁の連携に問題はないと思う。

 各省庁から発表される情報のスピードやタイミングはケースバイケースになるだろう。どれだけ蓋然性が高いかという部分もポイントになる。エボラ出血熱に関して言えば、陽性か陰性かによって、政府側から発信される情報の量やスピードに違いが出るはずだ。