ソフトウェアを必要とせず、オンラインで個人や企業のWebサイトを簡単に作ることができる「Webサイトビルダー」が普及している。ドイツで起業し、世界でユーザー数を拡大している「Jimdo(ジンドゥー)」もそのサービスの1つだ。創業者の1人であるフリジオフ・デヅナー氏が来日し、ドイツに次ぐ事業規模をもつ日本市場の重要性と、今後の企業のWebサイト戦略への考えを語った。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集部 指田昌夫)

「企業のネット戦略はソーシャル中心」とは<br />メディアが作った幻想!<br />“Webサイトへの回帰”は急速に進んでいる<br />――独ジンドゥー創業者 フリジオフ・デヅナー氏に聞くジンドゥーの3人の創業者の1人であるフリジオフ・デヅナー氏(Fridtjof Detzner) PC向け新サービス、iOSアプリなどすべての製品の開発を統括する Photo:DOL

――ジンドゥーの現在のビジネスモデルは?

フリジオフ・デヅナー(以下・デヅナー) まず無料のサービスを試してもらい、使い勝手を確認していただくことができます。ビジネスで本格的に使っていただけると判断した段階で、有料のビジネス版(年額1万1340円)、プロ版(同2万8980円)へとアップグレードしていただけます。無料版と有料版の大きな違いは、有料になると独自のドメイン(WebサイトのURL)を持てること、コンテンツの保存容量が大きくなることなどです。

――無料から入り有料サービスを促すビジネスモデルでは、無料会員が増えすぎるとインフラコストが膨らんで利益率が下がってくるようなことはありませんか?

デヅナー 売り上げや利益は非公開ですが、どちらも順調に伸びています。サーバー利用料などのインフラコストは近年むしろ下がる傾向にあり、無料ユーザーが拡大して容量が増えていっても、有料ユーザーからの売り上げ増加が上回る好循環に入っています。

 2007年にサービスを開始して、現在全世界で約1200万サイトを提供しています。日本語版は2009年からスタートして、個人や中小企業のユーザーを中心に現在約80万サイトとなっています。

――ジンドゥーと同じサイトツールを世界規模で提供している「Wix(ウィックス)」に対して、総サイト数ではだいぶ水をあけられています。また日本では、とくに個人商店のネットショップなどに特化したWebサイト構築サービスも広く出回っており、競争は激しいはずです。ジンドゥーの優位性は何でしょうか。

デヅナー Wixと比べた場合、メリットはサイトのデザイン変更が公開後でもしやすいところと、スマートフォンからでもサイトのデザイン変更や更新がしやすいことが挙げられます。またECサイトに特化したツールでは、細かい設定がかなり多くて一般のユーザーには難しいところがあります。ジンドゥーは決済機能の設定もシンプルにしていて、迷わないように配慮しています。