経営×ソーシャル
ソーシャルメディア進化論2016
【第62回】 2015年1月6日
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武田 隆 [クオン株式会社 代表取締役]

【石倉洋子氏×武田隆氏対談3】
個人の「ユニークさ」が創り出す「新しい未来」

一橋大学名誉教授・石倉洋子氏との対談第3回。今回のテーマは、個人が自身のキャリアを考える上で大切な3つの戦略の3つ目「ユニークさ」。日本人があまり重要視していない「ユニークさ」の価値について、なぜ今必要不可欠な要素なのかを解き明かす。

石倉洋子(いしくら・ようこ)
一橋大学名誉教授。米バージニア大学大学院 経営学修士(MBA)、米ハーバード大学大学院 経営学博士(DBA)を修了。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社でマネジャーを務めた後、青山学院大学国際政治経済学部教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授、慶應義塾大学院メディアデザイン研究科教授のほか、商船三井、富士通などの社外取締役を歴任。現在、世界経済フォーラム(ダボス会議)のGlobal Agenda Council Future of Jobsのメンバー。日清食品ホールディングス、ライフネット生命、双日社外取締役。専門は経営戦略、グローバル競争におけるイノベーション戦略、競争力、グローバル人材。六本木アカデミーヒルズで「石倉洋子のグローバル・ゼミ」、その他「ダボスの経験を東京で」を毎月開講中で、世界的な視点から問題をとらえ、英語でのディスカッションを学ぶプログラムには定評がある。主な著書に、『戦略シフト』(東洋経済新報社)、『日本の産業クラスター戦略』(共著、有斐閣)、『戦略経営論』(訳、東洋経済新報社)、『グローバルキャリア』(東洋経済新報社)、『世界級キャリアのつくり方』共著、東洋経済新報社)等。
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なぜ「ユニークさ」が
必要なのか

武田 これからの個人のキャリアを考える際の3つのキーワード「ORをANDにする(ディバイドからコネクトへ)」「オープン化」「ユニークさ」のうち、いよいよ最後の「ユニークさ」についてが今回のテーマです。私は、この「ユニークさ」の理解がもっとも難しいと感じています。特に日本では「ユニークさがなぜ価値になるのか」その重要性があまり理解されないのではないかと思います。

石倉 確かに「ORをANDにする」「オープン化」よりは、少しイメージが湧きづらいかもしれません。

武田 なぜ、ユニークさが必要なのでしょうか。

石倉 これからの社会では、企業も個人もイノベーションを強く求められるし、イノベーションは、それぞれユニークさを持つものの組み合わせから生まれるものだからです。まったく新しいアイデアを、同じ分野でゼロからランダムに考えてもすぐに限界がくる。でも、違う分野のものを組み合わせて考えると、その組み合わせの数だけ新しいアイデアが生まれるというわけです。

武田 多様な人々や多様なアイデアがつながり合うことで、創発が起きるということですね。
本連載第54回國領二郎先生との対談参照)

石倉 単に多くの人やアイデアがつながっても、同質性が高いもの同士ではイノベーションは生まれにくい。数だけではなく、それぞれがユニークさを持っているほうがいいんです。

武田 多様であるということは、それ自体に利点があるんですね。

石倉 そうです。もうひとつは、グローバル化が免れない現状においては、世界にはたくさんのユニークな人々がいるんだということを、これからの日本人は知ったほうがいいと思っています。世界には外見も宗教も文化も暮らし方も、まったく違う人たちがたくさんいるんです。

武田 これからの日本人はこうした多様な人々と今まで以上に接触して生きていかなければならないわけですものね。

石倉 私は最初にアメリカに留学したとき、自分の外見に驚くという経験をしました。まわりは日本人ではない人たちばかり、しかもアジア系の人も少なかったんです。黒い髪、黒い目というのはむしろ珍しかったんですよね。だから、家に帰って自分の顔を鏡で改めて見ると「えっ、髪が黒い!」と思ってしまって(笑)。 

武田 隆(たけだ・たかし) [クオン株式会社 代表取締役]

日本大学芸術学部にてメディア美学者武邑光裕氏に師事。1996年、学生ベンチャーとして起業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「消費者コミュニティ」の理論と手法を開発。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。花王、カゴメ、ベネッセなど業界トップの会社から評価を得て、累計300社のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア (矢野経済研究所調べ)。2015年、ベルリン支局、大阪支局開設。著書『ソーシャルメディア進化論』は松岡正剛の日本最大級の書評サイト「千夜千冊」にも取り上げられ、第6刷のロングセラーに。JFN(FM)系列ラジオ番組「企業の遺伝子」の司会進行役を務める。1974年生まれ。海浜幕張出身。


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